民泊

住宅宿泊事業

民泊の要件

一般的に「民泊」と呼ばれている宿泊営業は,住宅宿泊事業法に基づくものです。
宿泊営業に該当するか否かは,以下の二つの基準によって判断されています。

  1. 施設の管理・経営形態を総体的にみて,宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
  2. 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として,営業しているものであること

宿泊料を受けて,繰り返し住宅に人を宿泊させる行為は宿泊営業にあたり,本来であれば旅館業法の営業許可が必要な行為となります。ところが,住宅宿泊事業法では,同法に基づく届出を行なえば,住宅で宿泊営業を行うことが認められているのです。

なお,住宅宿泊事業法の届出を行うことなく宿泊営業を行った場合,旅館業法上の無許可営業となり,6か月以下の懲役,100万円以下の罰金という刑罰を受けることになります(両方の刑罰が科されることもあります。)。

無償で人を宿泊させる場合や,有償であっても事業と呼べるほどの反復継続性や社会性が認められない場合は,宿泊営業とはいえませんので,もともと旅館業法の営業許可が必要ではなく,住宅宿泊事業法の届出も必要ありません。

設備

住宅宿泊事業法の住宅は,台所,浴室,便所,洗面設備を備えている必要があります。人の居住の用に供されているものと認められる必要があります。

台所,浴室,便所,洗面設備は,必ずしも各建物内に設けられていなくてもよく,同一敷地内に複数の建物を使用する権原があるのであれば,これらの設備を備えた建物と設備のない建物があったとしても一つの住宅として届けることが可能です。

また,浴室,便所,洗面設備は,個別に設けられていなくても,例えば,ユニットバスにそれぞれの機能が備わっておれば,これらの設備が整っているとみなされ,浴室にはシャワーが備えられておればよく,トイレも様式でなければならないという制限はありません。

居住性

住宅宿泊事業法の住宅は,人の居住の用に供されているものと認められる必要があります。

人の居住の用に供されているといえるためには,

  1. 現に人の生活の本拠として使用されている。
  2. 入居者の募集が行われている。
  3. 随時,その所有者,賃借人,又は転借人の住居の用に供されている。

のいずれかに該当する必要があります。

1.は,所有者あるいは使用権原がある者の住民票上の住所が対象となる住宅の住所になっている場合です。

2.は,売買又は賃貸の形態で入居者の募集を行っている場合です。

3.は,少なくとも年に一回以上,住居としての使用されている場合です。

例えば,住居としての使用履歴がなく,分譲や賃貸の形態で入居者を募集したことのない,民泊用に新築したマンションは,住宅宿泊事業法の住宅にはあたりませんので,民泊として使用することはできません。

民泊には住宅宿泊事業者が住宅内に滞在するタイプ(家主居住型)と住宅を不在にするタイプ(家主不在型)があります。
家主不在型の場合には,住宅宿泊管理業者に住宅宿泊管理業務を委託しなければならなく,宿泊者の安全確保措置をとる必要があり,消防法の適用が異なる場合があります。
家主不在型の基準は,関係法令によって異なりますので,詳細に確認しておく必要があります。

食事の提供

住宅宿泊事業法には,食事を提供することに関する規定が設けられておらず,食事を提供することは禁止されていません。

しかし,人を宿泊させる以外のサービスを独立した事業として提供した場合,住宅宿泊事業法の住宅と認められなくなる可能性があるため注意する必要があります。

業として食事の提供を行うには食品衛生法に基づく営業許可を得ておく必要がありますので,他の法律との関係でも注意が必要になります。

標識の掲示

民泊を営む際には,住宅宿泊事業の標識を掲示しなければなりません。

住宅宿泊事業の標識は,

  1. 家主が同居する場合
  2. 家主が同居しないが住宅宿泊管理業者に管理を委託しない場合
  3. 住宅宿泊管理業者に委託する場合

の三種類があります。

都道府県が標識を発行する場合には,発行を受けたものを掲示しなければなりません。
標識は,住宅の門扉・玄関等の概ね地上1.2m以上1.8m以下で公衆が見やすい位置に掲示しなければなりません。

マンション等については,個別の住戸に加えて,共用エントランスや集合ポストなどの公衆が認識しやすい箇所に,標識の一部分などの簡素な標識を併せて表示することが望ましいとされています(区分所有マンションの共有部分に簡素な標識を表示する場合には,事前に管理組合の承諾を得ておく必要があります。)。

また,二世帯住宅で玄関が複数ある戸建の場合,門扉や玄関等への掲示のみでは公衆にとって見やすいものとならない場合には,門扉や玄関等への掲示に加えて,公衆が認識しやすい箇所に簡素な標識を掲示することが望ましいとされています。

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