医療過誤

医療過誤

手術ミス

  • 虫垂間膜結紮手術の手技上の過失
  • 東京地裁平成15年6月2日判決の事例を参考
  • 825万円の支払いを命じた事例

ケース

【手術】

私は、3月18日午後9時15分から、虫垂切除手術を受けました。
医師の説明によると、臍と右腸骨前上棘とを結ぶ線の外側から3分の1の点を中心として皮膚に長さ約5センチメートルの斜切開を行い、交差切開の方法で腹壁を切開したそうです。

また、結腸紐をたどって虫垂を検索し、虫垂に付着する虫垂間膜を結紮して切り離した後、虫垂の根部を結紮し、そこから数mm末梢部で虫垂を切除し、残った虫垂断端は盲腸内へ埋没させて巾着縫合したそうです。

そして、虫垂間膜の残った断端を展開し、その結紮部位からの出血が見られないことを肉眼で確認したうえで閉腹して、午後9時36分に手術が終了しました。

3月20日、血液学的検査を実施したところ、ヘモグロビン値が、基準値よりも低値を示していました。
3月21日、ヘモグロビン値の低下のほか、軽度の腹部膨満と反跳圧痛があったため、腹部の超音波検査を実施してもらいました。
すると、腹腔内出血が発見されたので、緊急の開腹止血手術が実施されることになりました。

そして、開腹止血手術は、全身麻酔下で、3月21日午後4時55分から行われ、臍の上下を長さ約20センチメートルにわたり正中切開により開腹したところ、結紮した虫垂間膜の断端が、結紮部位を挟んで上下に裂け、そこから出血して凝血塊が付着していたそうです。

医師は、出血部位を結紮して止血し、それ以上の出血が見られないことを肉眼で確認したうえで、ドレナージ術を施して体液などを除去し、閉腹して、午後5時33分に手術を終了しました。

【術後の経過】

私は、4月15日から25日まで、イレウスと診断されて入院治療を受けました。また、5月6日にも通院を余儀なくされました。

翌年4月5日〜4月28日にも入院し、デニスチューブ(イレウス管)が挿入されたが軽快しなかったので、中下腹部正中切開により、イレウス解除手術を受けました。また、退院後、5月2日、19日から20日、26日、6月23日、7月18日、8月15日、9月19日にも通院を余儀なくされました。

さらに、翌年5月29日〜6月8日、9月26日〜10月15日、11月1日〜11月22日、その翌年3月13日〜3月22日、6月24日〜7月12日、10月17日〜11月10日、また翌年10月6日〜10月20日、その翌年2月15日〜2月24日、3月6日〜4月10日にも入院をし、その間にも通院を繰り返しました。

そして、3月12日には、中下腹部の正中切開により、イレウス解除手術を受けました。

質問

6年前に受けた虫垂切除手術の際、虫垂間膜の結紮を適切に行ってくれていれば、その後の入院や通院は必要なかったはずです。
医師や病院に入院や通院を余儀なくされたことの責任はないのでしょうか。

説明

【東京地裁の判断】

医師は、平成5年3月当時、外科医として7年以上の経験を有していたから、虫垂切除手術 には熟練していたと考えられるが、虫垂間膜の結紮の手技を誤らないということはできないとし、医師が虫垂間膜の十分な結紮を行ったと認めることはできず、腹腔内出血が発生したことについて、医療契約上の債務不履行があったことを認めました。

そして、十分な結紮が行われたかどうかは、結紮される組織の状態に応じた結紮位置の選択と締め加減で決まるとし、虫垂切除手術においては、虫垂間膜の血管処理が不十分な場合に術後出血が起こりやすいので、確実な結紮によってそれを防止することが要求されると判断しました。

また、閉腹時に虫垂間膜の結紮部位から出血が見られなかったというだけでは、必ずしも十分な結紮が行われたものとはいえず、その後の出血の予見可能性がないということもできないとも判断しています。

そして、原告に発症した術後イレウスは、2度目の開腹止血手術が原因となって発症したものと認めることができるとし、約825万円の損害賠償を命じました。

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