労働災害とは,労働者が労務に従事したことによって被った負傷、疾病、死亡などを指します。
労働災害の代表的なものとしては、「作業中に機械に巻き込まれて怪我をした」、「建設現場での高所作業中に転落した」というものがありますが、これら典型的なものに限らず、過重負荷による脳・心臓疾患などの「過労死」、「過労自殺」や、セクハラ・パワハラなどの心理的負荷による精神疾患なども労働災害と判断されることがあります。
労働災害にあたるためには次の4つのポイントがあります。
- 被害者が労働者であること(労働者性)
- 使用者の支配下にあった事故であること(業務遂行性)
- 業務に起因して発生した事故であること(業務起因性)
- 使用者の安全配慮義務違反
ポイント1:労働者性
労働災害であるというためには、被害者が労働者であることが必要となります。
労働者というのは正規社員だけに限定されません。アルバイト社員、パート社員、日雇い社員も含まれます。
ポイント2:業務遂行性
労働者が、労働契約に基づき、会社などの使用者の指示命令のもとにあった(支配下にあった)ことが必要となります。
休憩時間、または事業所内であっても業務以外の行為中に起こった災害は労災とはなりません。ただし、施設の欠陥を原因とする災害の発生の場合には労働災害と認められる場合がありますので注意してください。
ポイント3:業務起因性
発生した災害が、業務に起因したものであることが認められる必要があります。
この業務起因性は、労災事件において度々問題となるポイントです。特に、機械の巻き込み事故や転落事故などとは違い、業務に起因する負荷が徐々に蓄積したことにより発生した過労死や過労自殺,精神疾患などの労災事故において問題となります。
ポイント4:安全配慮義務違反
会社などの使用者は、労働者が業務に従事するにあたり、生命や、身体の安全性を損なうことがないよう注意する義務(安全配慮義務)を負っています。
具体的な事案において、会社などの使用者に安全配慮義務違反が認められると、使用者は労働者に対して損害賠償義務を負うことになります。