成年後見・財産管理
成年後見・財産管理

成年後見・財産管理のよくあるご質問

成年後見・財産管理に関する疑問にお答えするコーナーです。
いろいろなお悩みのケースがあると思われます。
詳しくは、スター綜合法律事務所までお電話またはお問合せフォームからご相談予約をどうぞ。

  • 本人には,多数の銀行口座があり,その中には,少額の預金しかなく,長い間使用されていないものも多数あります。成年後見人として預金の管理を容易するため特定の口座にまとめてもよいのでしょうか?

    成年後見人は,本人の預金を引き出すことや口座を解約することができますので,後見事務を合理化するため,預金をいくつかの口座に集約し,不要な口座については解約してもかまいません。ただし,ペイオフとの関係で,あまり多額の預金を特定の口座に集中させることには注意が必要となります。

    また,安全性の観点から,差し当って支出の予定がない預金については定期預金にしておくことも検討すべきであると考えます。

  • 本人の財産を現金で管理する場合,いくら程度までであれば問題ないのでしょうか?

    現金として管理するのに適切な金額の上限については一般的に定められていません。\本人の財産額,生活状況,現金支払いを求められるものの数などから総合的に考慮する必要があります。

    ただし,現金で管理すると,財産の混同,流用,盗難,紛失のリスクが生じることや,資金の流れが不明確になる可能性が高いことを考えると,現金決済の数を減らし,口座引落としによる決済を行われ,可能な限り現金で管理する金額を少なくする努力をされるべきではないかと思います。

    また,現金で管理する場合には,必ず出納帳を作成し,後日に収支状況や使途について説明することができるようにしておく必要があります。

  • 昨今の預金金利を考えると本人の財産を預金として管理するのではく,比較的安全な金融商品で管理しようと思うのですが,問題ありませんか?

    株式,社債,外国債,投資信託など金融商品によって運用益やリスクの程度は一様ではありませんが,成年後見人が,比較的安全であるとはいえ,元本割れのリスクが伴う金融商品を新たに購入することは許されないと考えておいてくささい。

  • 成年後見人に就任する以前から本人が保有していた株式や投資信託などのリスクのある金融商品は売却した方がよいですか?

    本人がリスクのある金融商品を保有しているという理由だけで即座に売却しなければならないわけではありません。

    リスクの伴う金融商品を売却して預金として管理するか否か判断は,成年後見人に委ねられているため,価格動向や報告書を確認することを怠ってはいけません。

    そして,将来の価格の見通し,本人の金融商品に対する思いれなどを考慮して,処分するか否か,処分する割合を決定するようにしてください。

  • 成年後見人は,本人のために保険契約を締結することができるのでしょうか?

    不測の事態から本人の財産を守る必要がありますので,保険の必要性,不測の事態が発生した場合に本人が受ける損害の程度,本人の財産額,保険金と保険料負担とのバランスなどを考慮して,保険契約を締結すべき場合があります。

    例えば,自宅の火災保険,本人が扶養義務を負う未成年の子のための学資保険などについては保険料負担が相当と認められる範囲で締結しておくべきでしょうし,本人が扶養義務を負う親族の状況次第では,本人の生命保険契約を締結しておくべきと判断される場合もあると思います。

  • 成年後見人に就任する以前から,本人が多数の保険契約を締結しているのですが,保険契約を解約したほうがよいのでしょうか?

    成年後見人就任前から締結されていた保険契約については,契約を継続していても基本的には問題がありません。

    しかし,本人の財産額を基準にすると過大な保険料を負担していると判断される場合,保険契約を締結する必要性が乏しい場合には,保険契約の内容を変更する,時には契約を解約することも検討しなければなりません。

  • 本人が自宅で生活する上で,バリアフリー化のため,玄関や洗面所,風呂場,台所の改修工事を行うと思うのですが,費用を支払って工事を行っても問題ないでしょうか?

    自宅の改修については,必要性と相当性を判断する必要があります。

    本人が自宅で不自由なく生活してもらうための改修であれば必要性は認められると判断できます。ただし,予定している工事が相当といえるか否かについては慎重な判断が求められるところです。

    本人の年齢や施設介護の可能性を前提とした本人が自宅を利用する見込期間,それを前提とした工事の内容や工事金額とのバランス,改修費用の拠出により将来の本人の生活費,療養看護費の支払いに窮することにならないか等を考慮する必要があります。

    また,改修工事の必要性,相当性が認められるとしても,将来,親族から改修工事の実施につき非難されることが考えられます。将来,親族との間でトラブルになることを回避するために,親族の意見を参考に工事の内容や工事費用を検討すべきであると思います。

    なお,自宅の改修工事は,専ら本人のために行うものでなければならず,同居の親族の利便性を高めるための改修工事は認められません。

  • 本人は,多数の賃貸物件を保有していますが,本人自身が管理していました。私は,賃貸物件の管理を行ったことがなく,物件管理に多大な時間や労力を要することが予測されます。このような場合に,専門の管理会社に賃貸物件の管理をお願いしても問題ないでしょうか?

    物件の数や賃借人の数が多数に及ぶ場合に,賃貸物件の管理を専門の管理会社に任せて後見事務を合理的に行うことは認められます。ただし,費用と効果のバランスがとれているかを検討しなければなりません。また,親族から無駄な支出を行っているとの非難を受ける可能性があります。

    その意味で,複数の管理会社から管理業務の内容説明書と費用見積書を取り寄せ,後日,最も合理的な選択を行っていることを説明できるようにしておく必要があります。なお,本人に賃料収入があるということは,本人が確定申告を行う必要があることを意味しています。本人の確定申告も毎年忘れずに行うようにしてください。

  • 本人は,誰も使用していない住居用不動産を保有しています。この不動産を賃貸できるように改修するには高額な費用が必要になりますが,そのような費用を投じて改修したところで,費用に見合った賃料収入がえられるのか不明です。このような場合,誰も使用していない居住用不動産を処分しても問題ないでしょうか?

    本人の居住用不動産を処分する際には裁判所の許可が必要になりますが,非居住用の不動産であれば成年後見人の判断により処分することができます。

    ただし,成年後見監督人が就いている場合には成年後見監督人の同意が必要になります。

    また,不動産の処分にあたっては,当該不動産を処分しなければならない必要性,相当性がなければなりません。

    例えば,本人の生活費や施設入所費,医療費や入院費を捻出するなど,本人にとってより良い生活を実現するための費用を捻出するために必要である場合でなければなりません。

    売却価格,代金の支払方法,履行条件,その他の売却条件が,一般的な取引と比較して本人に不利益となっていないとの相当性が必要になります。

    不動産処分の相当性については,複数の不動産業者に相見積もりをとる,入札方式で処分するなどの配慮が必要になります。

    また,後日,親族との間でトラブルにならないように親族の意見も確認し,親族が反対している場合には,より慎重な判断を行うようにしてください。

  • 本人は施設に入所しており,入所前に使用していた自宅は誰も使用していません。このような自宅は非居住用不動産として処分しても問題ないでしょうか?

    本人が入所直前まで居住していた不動産は居住用不動産にあたりますので,家庭裁判所の許可なく処分することはできません。

    この他,本人が入院中で退院後に帰る予定にしている不動産,本人の住居実績はないももの本人が近い将来居住する予定で建築していた不動産も居住用不動産に含まれます。

    他方,別荘や転居前の不動産は,居住用不動産には含まれません。

    なお,処分は,売却だけに限られず,贈与(負担付のものも含む。),無償での貸与,譲渡担保権,仮登記担保権,不動産質の設定も処分に含まれますので注意が必要です。

  • 本人の生活費や医療費を捻出するためにリバースモーゲージを利用しようと思うのですが,成年後見人の判断で行って問題ないでしょうか?

    リバースモーゲージとは,所有している自宅に担保権を設定して,毎月必要となる生活資金の融資を受け,本人が亡くなられた後に自宅を処分して一括返済するという内容の継続的金銭消費貸借契約のことです。

    リバースモーゲージには,民間の金融機関が行っているものと社会福祉協議会が行っているものとがあります。

    このようなリバースモーゲージの利用は,家庭裁判所の許可なく行うことはできません。

    そして,裁判所の許可を得るためには,リバースモーゲージを利用しなければならない必要性と契約内容の相当性が必要になります。

    なお,リバースモーゲージのリスクとしては,本人が存命中であったとしても借入れ限度額に達した場合には自宅を処分しなければならないものがあること(商品によっては,存命中の返済は借入残高の利息分のみとしされているものもあります。),不動産価格の下落により自宅の売却により借入金を返済することができなくなることなどがあります。

    このようなリスクを十分に理解して検討するようにしてください。

  • 施設への送迎用に本人のために自動車を購入したいのですが,自動車を購入しても問題ないでしょうか?

    自動車の購入の可否については,自動車購入の必要性,相当性を総合的に考慮して判断することになります。

    本人の心身の状況,本人が自動車を使用する頻度,施設に通うにあたり他の交通手段の有無,他の交通手段がある場合には時間,費用の比較等により必要性を判断することになります。

    自動車購入の必要性が認められる場合に,本人の財産の状況,本人の財産と自動車購入金額との比較,本人が使用するのに適した車種であるか等を考慮して相当性が認められれば,自動車を購入することが認められることになります。

  • 本人の財産から,孫の入学祝,結婚祝い,出産祝いを行っても問題ないでしょうか?

    祝い金の交付は,金銭の贈与にあたりますので,原則として認められないと考えておいた方がよいと思います。

    ただし,他の孫に対する過去の例から,本人が健常であれば祝いを行ったであろうと思われる場合に,常識の範囲内の金額であり,かつ,それにより本人の生活や療養看護に,いささかの影響も及ぼさないのであれば,認められる場合があると考えます。

  • 本人の親族が亡くなり,喪主を務めた親族から本人の財産から葬儀費用を出して欲しいとお願いされましたが,本人の財産から葬儀費用を支払っても問題ないでしょうか?

    葬儀社との関係で葬儀費用の支払義務を負っているのは,葬儀社と契約を行った喪主であり,喪主を務めた方が葬儀費用を支払い,最終的にも負担するのが原則です。ただし,亡くなられた方が本の子で,その方にお子さんがおられないなど,本人が健常であれば,本人が葬儀費用を負担したであろうと考えられる場合には,本人の財産から葬儀費用を支払いが必要な場合があります。

    そのような場合であっても,本人の財産の状況,葬儀費用の金額,葬儀費用の支払いにより本人の生活や療養看護に与える影響,他の親族の財産状況などを考慮し,葬儀費用の全額あるいは一部の支払いが認められる場合があります。

  • 本人に成年後見人が付される前に,本人の身の回りを世話を行っていた親族から,本人の生活費などの立替金が存在するので精算して欲しいとお願いされたのですが,支払いを行っても問題ないでしょうか?

    親族が本人の生活費などを建て替えている場合には精算しておく必要があります。

    ただし,親族間の立て替えは領収書などがないことも多く,親族が立て替えた金額を客観的に特定することができないことも少なくありません。

    また,領収書の宛名が立て替えを行った親族の氏名になっており,本当に本人に必要な支出であったのか判断しかねるものも含まれていたりします。

    親族が行った立替金の精算については,慎重に判断する必要があります。

  • 親族から,本人の財産から事業資金を貸して欲しいとお願いされているのですが,親族に貸付けを行っても問題ないでしょうか?

    本人から親族に対して貸し付けを行うことは,基本的に,本人にとって必要性が認められませんので,行うことができないと考えておくべきです。

    仮に,親族に対して貸付けを行い,貸付金が回収できないという事態に至ると,本人が亡くなられた後に,相続人から損害賠償を求められたリ,場合によっては横領罪等の被害届が提出され,刑事訴追を受ける可能性もあります。

    本人から親族に対する貸付けが認められるのは,本人が親族の事業収入に依存しているといった例外的な場合には必要性が認められるものの,本人が貸付金を確実に回収することができる目途がない場合に貸付け行うと,相当性に欠けるとの理由で認められないことになります。

    なお,本人から借入れを行う親族が本人に確実に返済できる経済状況にあるならば,その親族は,本人からではなく,金融機関などから借入れを行うことができるでしょうから,そもそも本人から借入れを行う必要はないと思います。

    そもそも,親族に借入れを求めるというのは,金融機関などの第三者から借入れを行うことができないという経済事情にあることが多く,親族に対する貸付けは行わない方が無難です。

  • 成年後見人が付された本人が遺言書を作成することはできるのでしょうか?

    成年後見人が付された本人であっても遺言書を作成することはできます。

    ただし,成年後見人が付されている場合には,?事理弁識能力を一時的に回復したときに遺言書を作成すること,?遺言書を作成する際に二名の医師が立ち会っていること(立ち会った医師は,遺言書に,本人が事理弁識能力を欠いていなかったことを付記し,署名・押印しなければなりません。)が条件となります。

    また,上記の条件を満たした遺言書であったとしても,成年後見人が本人の直系血族,配偶者,兄弟姉妹でない場合,そのような成年後見人に対して遺贈を行うことを内容とした遺言書は無効となります。

    本人に成年後見人が付された後に遺言書を作成すると,本人に遺言書を作成する能力がなかった,特定の相続人から圧力を加えられて作成されたなど,遺言書の効力について争いになり,そのような紛争に成年後見人も巻き込まれるおそれがありますので注意が必要です

  • 本人の姉は,既に夫を亡くし,子供もいませんし,両親も早くに亡くしていいます。成年後見人としては,どのようなことを注意しなければなりませんか?

    亡くなられた方に配偶者や直系血族がいないのであれば,本人は亡くなられた方の相続人となります。そして,相続は,財産だけでなく負債も対象となり,負債が財産を上回っている場合には相続放棄をしなければ,本人に負担を与えることになります。

    本人が相続を受ける立場になった場合には,本人が相続することになる負債の有無,金額を確認することが重要になります。そして,財産より負債の方が多い場合には相続を放棄しなければなりません。

    なお,相続の放棄は,相続開始を知ったときから3か月以内に,家庭裁判所に対して相続放棄の申立てを行う必要があります。

    仮に,3か月以内に財産や負債の状況を把握することができず,相続放棄を行うべきか否かの判断を行うことができない場合には,相続財産がプラスになる限りで相続を行うという限定承認という方法があります。

    これについても,相続開始を知ったときから3か月以内に,家庭裁判所に対して申立てを行う必要があります。

  • 本人は相続人の一人なのですが,いつまでたっても相続人間で相続に関する話合いが行われません。成年後見人としては,どのように対応すべきなのでしょうか?

    本人の経済状況次第では,早急に遺産分割を完了し,遺産で本人の生活費や療養看護費を捻出する必要があります。

    このような場合には,成年後見人から遺産分割協議を働きかけ遺産分割協議を行う必要があります。

    そして,当事者間の協議により遺産分割が成立しない場合には,家庭裁判所に遺産分割協議を申し立てることも検討しなければなりません。

    本人が生活保護などの公的な給付を受けている場合,相続が開始すると公的な支給が打ち切られ,本人の生活や療養看護を維持することができないこともありますので,早急な対応が求められるところです。

  • 私は,兄の成年後見人を務めていますが,母が亡くなり,母の相続人は私,兄,弟の三人です。私は,相続人として自分自身の立場,兄の立場で,弟と遺産分割について協議してよいのでしょうか

    この場合,成年後見人と本人は利益相反の関係にあります。

    成年後見人は,本人との間で利害が相反する関係にあるとき,本人の利益を代表する特別代理人を選任しなければなりません。なお,特別代理人の選任の申し立ては,家庭裁判所に対して行うことになります。

    ですから,お兄さんに特別代理人が選任されるまで遺産分割協議を行うことはできません。

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