身体を拘束されると精神的、肉体的な負担が大きいだけでなく、会社に出勤することができない、会社を経営することができないことで金銭的な負担も発生します。そして、身体の拘束長引けば、会社から解雇されたり、取引先を失ったりなど、その後にも金銭的な負担が発生し、社会的な地位を喪失することにもなりかねません。
また、学生であれば授業に出席できない、試験を受けることができないことにより進級することができない、ときには退学処分を受ける可能性があります。
このことから身体の拘束は、可能な限り短期間に留める必要があるのです。
逮捕後に身体を解放してもらう機会としては以下のものがあります。
- 事件が検察官に送致される前の釈放
- 勾留前、勾留延長前の釈放
- 公判請求前の釈放
- 起訴後の保釈
1.送検前の釈放
警察に逮捕されると、原則として書類や証拠とともに身体も検察に送られることになります。しかし、警察の取調べの段階で嫌疑がないと判断された場合や、嫌疑の内容が非常に軽微な場合には検察に送られることなく釈放してもらえることがあります。
警察に嫌疑がないことを理解してもらう、嫌疑があったとしても軽微であるため事件を検察庁に送ることなく終了してもらうために、それぞれの事案に応じて警察に対する働きかけを行います。
2.勾留・勾留延長前の釈放
被疑者が罪を認め、住所がわかっていて証拠隠滅や逃亡のおそれがなく勾留の必要がなければ勾留や勾留の延長を行う必要がありません。
そして、勾留が行われるか否か、勾留延長が行われるか否かは、検察官の請求により裁判官が判断することになりますので、検察官による勾留請求を思い留まらせたり、裁判官による勾留決定を回避するための活動が重要になります。
スター綜合法律事務所では、勾留や勾留延長が行われないよう、検察官や裁判所に対して積極的な働きかけを行います。
3.公判請求前の釈放
検察官が勾留満期日または勾留延長満期日までに起訴・不起訴を決定できない場合は、処分保留として釈放されることがあります。ただし、処分保留の釈放は暫定処分な処分であり、新たな証拠により起訴が可能であると判断し、身体の拘束が必要であると判断されると再び逮捕され,勾留される可能性があります。
仮に、警察や検察の誤認により身体が拘束され、あらぬ疑いにより捜査が行われている場合、犯罪行為を行っていないことを示す立証活動をこの段階から行っていき、警察などによる捜査が早期に終了するよう働きかけを行い、一日でも早く釈放されるように積極的な働きかけを行っていきます。
4.保釈(起訴された後の身柄の解放)
保釈は、起訴後に身体を拘束されている者に与えられた権利です。犯罪を行ったことを認めている場合であっても、基本的には裁判所の判断により保釈は認められなければならないものです。
保釈は、被告人、配偶者、兄弟姉妹など、弁護士が請求することができますが、弁護士に任せていただくことが一般的です。
弁護士が保釈請求書を裁判所に提出すると、裁判所は検察官に対し保釈についての意見を求めます(求意見)。なお、裁判所が保釈の判断するにあたって、検察官の意見が大きな影響を及ぼすといわれています。
また、検察官から意見があがってきた後、弁護士が裁判官と面談を行い、保釈金についての話し合いをすることがあります(裁判官面談)。以前は大阪地裁においても裁判官面談が行われていましたが、現在では行わないことが原則になっています。
裁判所は、保釈が相当であると判断した場合には保釈保証金の金額を決定しますが、特に資産がない方であれば150万円から300万円の間で決定されるのが一般的ですが、事案によって400万円程度の保釈金が決定されることもあります。
保釈金は、基本的に本人あるいはご家族の方で準備して頂くことになりますが、保釈保証金の貸付制度も存在しますので、保釈金の貸付制度の検討も行っておく必要があります。
保釈を受けることができる最大のメリットは、刑事裁判の期間中に日常生活を取り戻すことができる点にあります。
また、刑事裁判との関係でいえば、ご家族のサポートを直接感じとることができる上に、弁護人との打ち合わせが時間を十分に確保することができ、より良い立証活動ができることがメリットといえるでしょう。
身体を拘束されている場合には拘置所において裁判の打ち合わせをすることになりますが、拘置所での打ち合わせは曜日や時間が制限されていますが、身体が解放されれば、このような制限を受けることなく裁判に向けた準備を行うことができるのです。
スター綜合法律事務所では一日も早く身体が開放されるよう最善の努力を行います。