企業再編支援
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企業再編の手続(株式移転)

株式移転の手続

株式移転は、親会社となる会社を新設する点で新設型の組織再編行為であり、新設合併や新設分割に近いことから、これらの制度とともに「新設合併等の手続」(会社法803条〜)において、手続が規定されています。kabushiki_iten.gif

株式移転計画

株式移転を行うには、まず株式移転計画を作成する必要があります(会社法772条2項)。
株式移転計画書には、(1)完全親会社の定款等組織に関する事項、(2)親会社が発行する株式に関する事項、(3)親会社が交付する株式以外の財産に関する事項、(4)親会社が発行する新株予約権に関する事項を定める必要があります。
なお、株式交換と異なり、完全親会社の株式以外の財産を対価とすることは認められていません。

事前開示書類

株式移転によって完全子会社となる会社は、一定の事項を記載した書面または電磁的記録(事前開示書類等)を本店に備え置く必要があります(会社法803条)。

事前開示書類は、下記1.から4.のいずれか早い日から6ヶ月間、備え置く必要があります。

  1. 株式移転の承認に関する株主総会の2週間前の日
  2. 反対株主の株式買取請求に関する通知または公告のいずれか早い日
  3. 新株予約権買取請求に関する通知または公告のいずれか早い日
  4. 債権者異議手続の公告または催告のいずれか早い日

事前開示すべき事項は、次の1.から7.になります(会社法803条1項、会社規則206条)。

  1. 株式移転計画の内容
  2. 株式移転に際して、完全子会社の株主に対して交付する完全親会社の株式、社債及びそれらの割当、各々の相当性に関する事項
  3. 株式移転に際して、完全子会社の新株予約権者に対して交付する完全親会社の新株予約権及びその割当、各々の相当性に関する事項
  4. 他に完全子会社となる会社がある場合における、当該会社の計算書類等の内容
  5. 最終事業年度の末日後に生じた重要な事象等の内容
  6. 株式移転について異議を述べることができる債権者がいる場合、完全親会社における債務の履行の見込みに関する事項
  7. 株式移転の効力が生ずるまでの間に、上記(1)から(6)の事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

株主総会の承認

株式移転には、略式・簡易組織再編の規定はなく、完全子会社の株主総会における特別決議が必要となります(会社法804条1項、309条2項12号)。
なお、株式移転がある種類の株式の株主に損害を及ぼす恐れがあるとき(会社法322条1項13号)、株式移転についてその種類株主総会の決議事項とされているとき(会社法323条)は、当該種類株主総会での特別決議が必要となります。

債権者保護手続

完全子会社が、その新株予約権付社債を株式移転計画に従って完全親会社に承継させる場合には、当該新株予約権付社債の社債権者について債権者保護手続を採る必要があります(会社法810条1項3号)。この場合、1ヶ月以上の期間を定めてその期間内に意義を述べることができる旨官報に公告し、かつ個別に催告することが必要です(会社法810条2項)。

株式買取請求権等

完全子会社の株主については、反対株主の株式買取請求権が認められています(会社法806条1項)。
完全子会社の反対株主は、会社に対し、自己の保有する株式を「公正な価格」で買い取ることを請求できます。請求できるのは、(1)当該株式移転決議を行う株主総会に先立ち、株式移転に反対する旨会社に通知し、総会において株式移転に反対した株主と、(2)当該株主総会において議決権を行使できない株主になります。
完全子会社では、株式移転をする旨等を、株主総会決議の日から2週間以内に通知か公告することが必要です(会社法806条3、4項)。
株式買取請求権は、株式点の効力発生日の20日前の日から効力発生の前日までの間に、会社に対し、買取請求を求める株式の数を明らかにして行う必要があります。
買取請求権行使後、株主による請求の撤回は、会社の承諾ある場合の他、価格について協議が整わないにもかかわらず裁判所に対する価格決定の申立が株式移転の効力発生日から60日以内になされない場合以外は認められません(会社法806条6項、807条3項)。
買取価格について合意が成立した場合、株式移転の効力発生日から60日以内に買取代金の支払いをしなければなりません。
買取価格について、株式移転の効力発生日から30日以内に合意が成立しない場合は、株主・会社は、その期間の満了の日の後30日以内に、裁判所に対し、買取価格の決定を申し立てることができます(会社法807条2項)。

株式移転の効力

株式移転は、完全親会社の成立の日、すなわち設立登記の日に効力を生じることになります(会社法774条1項)。

事後整備書類

完全子会社と完全親会社は共同して、株式移転により完全親会社が取得した完全子会社の株式の数、株式移転が効力を生じた日、完全子会社における株式買取請求、新株予約権買取請求及び債権者保護手続の各手続の経過、その他株式移転に関する重要な事項(会社規則210条)について事後開示書面に記載し、完全親会社成立の日から6ヶ月間本店に備置しなければなりません。

株式移転無効の訴え

株式移転の無効については、完全親会社と完全子会社を被告として、株式移転の効力が生じた日から6ヶ月以内に提起する方法によってのみ主張することができます(会社法828条1項12号、834条12号)。
提訴権者は、完全子会社の株主等(株主、取締役、監査役、清算人、執行役)であった者並びに完全親会社の株主等となります(会社法828条2項12号)。

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