私的整理ガイドラインとは、平成13年9月に全国銀行協会や日本経済団体連合会が中心となって構成された私的整理に関するガイドライン研究会がまとめ、公表されたものです。法的な強制力・拘束力はありませんが、紳士協定として位置づけられています。
この私的整理ガイドラインは、法的整理によらずに、債権者と債務者の合意に基づき債権放棄を行うための手続規定を設け、私的整理についての基準を明確にし、不良債権処理を促進することを目的として策定されました。
私的整理ガイドラインは、再建計画の内容について
- 3年以内の実質的債務超過解消・経常利益黒字化、
- 経営者の退任、
- 株主責任としての減資などを盛り込むことを求める など、法的整理に準じた厳しい内容を定めています。
その一方、私的整理ガイドラインに従って債権放棄を行った金融機関に対しては、原則として無税償却が認められることになっており、これが金融機関にとって最大のメリットとなります。
ただ実際には、私的整理ガイドラインの求める条件が厳しすぎるため、利用されたケースは数十社程度に止まっています。
なお全国銀行協会は、平成14年11月、私的整理ガイドラインを弾力的に運用できるように、
- 業界の特殊事情等合理的な理由のある場合は、債務超過解消・経常黒字転換までの期間を延ばすこと、
- 経営責任のない経営者や中小企業の場合、経営者を留任できる、
- 中小企業で今後の増資が困難な場合、減資を求めない
と言ったことを、合理的な例外として確認しています。
今ではこの私的整理ガイドラインは、整理回収機構や中小企業再生支援協議会による企業再生にあたっても、再建計画を検証する指針として利用されています。