事業再生支援 私的整理
事業再生支援 私的整理

事業再生の手続(私的整理GL3)

私的整理ガイドラインに基づく私的整理手続

第1回債権者会議

第1回債権者会議の主たる目的は、対象会社と主要債権者による一時停止の通知により開始されたガイドライン手続を継続するのか、再建計画案を拒否するのかについて、対象債権者において主体的に決定する点にあります。
第1回債権者会議の議長は、通常、主要債権者から選任することになります。
議事は、対象債権者からの質疑応答、専門家アドバイザーの選定、一時停止の追認、一時停止期間の延長、第2回債権者会議の日時場所の指定、その他必要な事項(DIPファイナンス、スポンサー選定方法等)の決定を全員一致で行うことになります。
対象債権者に欠席者が出ると第1回債権者会議は成立しないことから、基本的には、私的整理を断念することになりますが、出席の見込みがある場合は、会日を延期して改めて出席を促すことも考えられます。
議題に反対者・留保者が出た場合は、基本的に私的整理の続行を断念する必要がありますが、再考の余地がある場合は、第1回債権者会議を続行、延期することにより対処することも考えられます。

第1回債権者会議後、今後の問い合わせ窓口は、専門家アドバイザーに一本化されるのが一般的です。
専門家アドバイザーは、必要に応じて対象債権者全員に関係するもので、重要な事項について調査・検証を行い、必要が有れば再建計画の修正について意見することもあります。
専門家アドバイザーは、提出された財務諸表の適正や、再建計画案の内容の相当性・実行可能性について調査し、調査報告書を作成の上、専門家アドバイザー説明会を開催することになります。
専門家アドバイザー説明会後、第2回債権者会議までの間、対象会社は、対象債権者から再建計画案の同意の取り付けに奔走することになります。一時停止後に対象債権者が債権譲渡した場合、譲受人には私的整理の情報が少ないため、同意取得に手間取ることがあります。

st175.jpgなお第2回債権者会議において一部の対象債権者から再建計画案に対して不同意が表明されるとガイドライン手続は不成立となりますが、不成立が見込まれる場合は、第2回債権者会議の相当期間前に、裁判所に対し、事前相談を行っておき、速やかに、民事再生手続や会社更生手続といった法的整理手続の申立を行い、事態の収拾を図ることになります。

第2回債権者会議

第2回債権者会議は、再建計画案に係る最終質疑とその同意・不同意の表明期限を決定することをその目的としています。
もっとも実務上は、この第2回債権者会議において、再建計画案の同意書が各対象債権者から提出されることとなっており、これにより再建計画が成立することが多くなっています。
欠席者が出た場合、同意書の提出が予定されていれば、第2回債権者会議の続行若しくは同意書提出期限の延長を決議することになります。反対で欠席したときは、ひとまず続行決議して対応することが多いかと思われます。

第2回債権者会議の議事も、主要債権者から議長を選任して進められることになります。
同意書の提出時期は、本来、第2回債権者会議で決議すべきところ、実際には、第2回債権者会議において、同意書が提出されています。ここでは一時停止期間中に提出されるべき点がポイントです。
同意書を根拠に対象債権者の債権は変更されることになりますが、再建計画が成立しない場合は、効力が生じないことが黙示の前提とされているものと解されます。
同意書は、統一した書式を用いますが、解除条件、要望事項など何らかの余事記載がなされた場合は、合理的意思解釈により効力について判断することになります。
定められた期限までに同意書が提出されない場合、(1)ガイドライン手続不成立とする、(2)他の対象債権者のみで再建計画を成立させる、(3)特定調停手続等を利用して同意取得を目指す、という方法が考えられますが、(2)は結局ゴネ得を許すことになりかねず、(3)も相当期間を要する可能性もあり、対象債権者間の足並の乱れが生じ得るところです。

ガイドライン手続が不成立となれば、速やかに法的整理手続を申し立てることとなりますが、ガイドライン手続中に実行されたDIPファイナンスにかかる債権を共益債権化できるかといった問題や従前のスポンサーの保護といった問題が残ることになります。

再建計画の成立

再建計画が成立したときは、対象会社は、相当な方法により、再建計画の概要を公表することになります。また一定の要件を満たすガイドライン手続に基づく債務免除を受けた場合、平成17年度新税制(資産評価損益の計上や期限切れ欠損金の優先利用)の適用を受けることができますが、そのためには、全国銀行協会、社団法人日本経済団体連合会に、債権放棄等の概要を通知する必要があります。

再建計画の遂行

対象会社は、再建計画を実行し、再建計画の定めに従い、債権者会議などで実施状況を報告することになります。
もし再建計画の履行ができないときは、対象債権者全員の同意を得て再建計画を変更するか、法的整理手続に移行しなければならず、放置は許されないことになります。なお、対象債権者と個別に和解して新たに債務免除を受けることや期限の猶予を受けることも禁止はされていません。
なお、再建計画変更の手続は、再建計画成立時の手続と同様の手続に則って行われるべきこととなります。

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