債権管理・回収
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動産売買の先取特権

意外に知られていないのが「動産売買の先取特権」という担保権です。
動産売買の先取特権は、大手商社などでは行使されていますが、それ以外の場面では行使されることが少ない担保権といえます。

先取特権とは、法律上当然に認められる担保物権であり、動産の売主には、当該動産の対価及び利息に関し、その動産に対して先取特権をもっています。そして、ここが重要なのですが、先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭、その他の物に対しても行使することができます。この結果、あなたの会社が販売した商品を取引先が既に転売している場合であっても、取引先が代金を回収していない場合には,売掛債権から回収することができます。

<ポイント>

  1. 事前の設定契約がなくとも売主であれば当然に認められる。
  2. 商品が買主の手元にあるときには返還を求めることができる。(商品の引渡請求権がないため、任意の引渡しを求めることになります)(商品が加工・担保提供されている場合には消滅します)
  3. 商品が転売されているときには転売代金に対しても行使できる。

st073.jpg動産売買の先取特権を行使した場合の回収方法は、動産競売になります。
しかし、法律的に動産の引渡しを強制することや、競売申立のための動産引渡請求権又は承諾書の提出請求権もないとされています。
したがって、取引先に商品が留まっている場合には、有効な権利ではありません。しかし、取引先が商品を転売している場合には,強力な効力が発生します。
動産売買の先取特権は、あなたが販売した商品を取引先が転売している場合に取引先の売掛債権に対しても効力があります。この結果、あなたは、取引先の先から直接債権を回収することができます。

動産売買の先取特権は、裁判所の強制執行の手続により行使しなければなりません。そして、この手続で重要になるのが、あなたが販売した商品と取引先が販売した商品との紐つけ、取引先の売掛債権と転売先が取得した商品との紐つけです。

裁判所では、取引先とその販売先との関係についての証拠が非常に厳しくチェックされるため、取引先が販売した先の会社の協力がなければ行使することが難しい権利といえます。
しかし、売買代金の先取特権は、取引先が破産した場合にも行使することができる権利ですので、取引先が販売した先の会社の協力が得られるように努力するべきです。

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