日本には、インターネット上の電子商取引契約に関する包括的な法律はありませんが、電子商法取引に関する一連の法律を包括して、ここでは電子商取引法と呼びます。(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律に関する法律)
現実の世界での商取引契約は,相対で契約書等を取交わして行われるのが一般的でした。また、株式等の有価証券取引、旅行商品の売買、訪問販売、割賦販売等の特定の商取引では、消費者契約法により、書面等の交付が契約の成立要件となっています。
ところが、企業に対して、常に契約書等の書面の交付を強いることはインターネット上での円滑な取引を阻害することになりますし、労力・費用面で大きな負担を強いることになります。
そこで、書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律に関する法律(書面一括法)が制定され、顧客の承諾がある場合には、書面の交付に代えて、電子メール等の顧客から同意を得た方法により通知することができるようになっています。
最近、サイト上の一般的な契約条件の中に、契約締結に際して承諾があったものとみなす内容の条項が盛り込まれ、通知の方法も電子メールによる送信などと一方的に指定されている場合があります。
この場合、常に顧客等の承諾がない、顧客から同意を得た方法による通知がなされていないとは言えませんが、契約条項がサイトの中で確認することが困難な場所に記載されている場合や、多くの契約条件の中に滑り込ませるように記載されている場合には、書面一括法が求める承諾や同意を得ているとは言い難いものと思われます。