知的財産
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商標自体の類否判断

外観、呼称、観念の総合判断

そもそも、商標は、外観、呼称、観念により形成されています。

このような商標の類否判断を検討するとき、大審院昭和2年6月7日判決以降、一貫して比較する商標の有する外観、呼称又は観念のいずれかにおいて相紛らわしく、それぞれを同一又は類似の商品または役務に使用したときに出所の混同を生ずるおそれがある場合には商標は類似すると判断されているのです。

外観の類似

ここで外観の類似とは、二つの対比される商標に表された文字・図形・記号等の商標の外観形象について視覚に訴えて観察した場合、それらが商品又は役務の識別標識として紛らわしい場合をいいます。

商標を目にしたとき、その商標は、視覚に訴えて外観を通じて記憶されます。
ですから、外観が類似している場合には、その他の点において紛らわしいところがないとしても、類似商標であると判断されます。

なお、対比される商標の観察方法ですが、大審院明治42年3月12日判決以降、離隔的観察を行うとされています。
また、外観を観察するにあたっては、細部の比較を行うのではなく、全体的な観察を行う必要があります。

呼称の類似

次に、呼称の類似とは、二つの商標の呼称が紛らわしく聞こえる結果、商標を混同・誤認し、そのため出所について混同を起こさせるおそれのある場合をいいます。

商標は、視覚のみならず聴覚を介して記憶されることもあります。このことから、外観のみならず呼称についてもその他の点において紛らわしいところがないとしても、類似商標であると判断されます。

なお、商標の呼称は、商標を構成する文字、図形、記号、色彩等からして、その商標が使用される取引者層にどのように呼ばれるかによって決定されます。

観念の類似

また、観念の類似とは、二つの商標の有する意義が同一であるか紛らわしいために、これらの商標を付した商品が同じ製造業者・販売業者の製造・販売する商品であるかのように、また、これらの商標を使用する役務が同じ提供者により提供されるサービスであるかのように世人が直感するおそれのある場合をいいます。

この観念類似の判断基準は、書物や辞書に示されている意味等には拘束されず、取引者・需要者が見て感じ取る内容が基準になります。

そして、外来語においても、外国語の本来の意味がどうかという点よりも取引者・需要者がどのように理解しているかが重要になるのです。

立体商標

商標の類否判断については、先に説明したとおりですが、立体商標との関係で類否判断を行う際には特別な考慮が必要になります。

立体商商標は、見る方向によって視覚に映る姿が異なるという性格があります。
そこで、特定の方向から見た場合に視覚に映る姿が立体商標の特徴を表しているとは認められないときを除き、次のような基準で判断することになります。

まず、立体商標は、原則として、それを特定の方向から見た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合を含みます。)と外観において類似します。

また、特定の方向から見た場合に、視覚に映る姿を共通にする立体商標(近似する場合を含みます。)は、原則として外観において類似します。

なお、立体商標が、立体的形状と文字の結合からなる場合には、原則として、当該文字部分のみに相応した呼称又は観念も生じます。

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