知的財産
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他人の商品形態の模倣

他人の商品形態

不正競争防止法は、最初に販売されたときから3年以内の他人の商品形態を模倣した商品を譲渡、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入する行為を不正競争行為と定めています。

商品を開発し、市場で流通させるためには多大な費用・労力が必要になります。
このように他人が多大な費用・労力を費やして開発した商品を労なく模倣できるのであれば、市場における競争において著しく不公正な結果となります。また、自由に他人の商品を模倣できるのであれば、独自の商品を開発しようとする意欲も削がれることになります。

そこで、不正競争防止法は、3年間の投下資本回収を容易にする趣旨で商品形態を模倣した商品等を販売等する行為を不正競争行為と定めたのです。

なお、不正競争防止法では、他人の商品形態を模倣する行為自体は不正競争行為とは定めていません。
これは、試験・研究の目的で他人の商品形態を模倣する行為についてまで不正競争行為とすると商品開発の妨げになることに配慮したためです。

前記したとおり、不正競争行為の対象となるのは、最初に販売されてから3年以内の商品です。

商品がサンプルとして出荷されたり、見本市に出展された場合、神戸地判平成6年12月8日「ハートカップ事件」判決では、第三者がその商品の形態を模倣することが可能になります。

そして、商品を開発した者にとっては、第三者が商品の形態を模倣することが可能になった時点で投下資本の回収に尽力すべきといえるので、3年間の起算点は、出荷されたり出展された時点というふうに解釈されています。

また、外国で販売された後、日本において販売された場合には、いずれの販売時を基準に起算するかについては、前記と同様に外国で販売された時点で第三者の模倣のおそれが生じ、開発者においても資本回収の努力を行うべきですので、外国で販売した時点をもって3年間の起算点になると解釈されています。

以上のことから、不正競争防止法においては、「販売されたとき」と規定されていますが、商品形態を模倣しうるときと解釈されているのです。

また、商品形態に変更が加えられたとき、変更前の商品と変更後の商品についてそれぞれ3年間の保護期間が認められるかという問題について、大阪地判平成10年8月27日「仏壇事件」判決は、この規定の趣旨が商品開発を行った者に対して投下資本の回収を行わせるというところにあるため、投下資本の回収が必要になる程の変更が加えられた否かによって別異に3年間を起算するか否かを決すべきであると判示しています。

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