著作権の内容
著作権は、著作権法によって保護される権利のことです。そして、著作権法が保護する権利は、著作者の権利と著作隣接権とに大別することができます。
著作権という言葉が一番広い意味で使用される場合、著作者の権利と著作隣接権とを指しているのです。
著作者の権利は、著作物を創作した者等に与えられる権利であり、著作者人格権と著作財産権に区別することができます。
著作権とは、狭い意味ではこの著作財産権のことを指します。なお、以降では、この著作財産権のことを単に著作権と呼びます。
著作人格権は、著作者の固有の人格的利益を保護するもので、以下のものがあります。
- 公表権(18条)
- 氏名表示権(19条)
- 同一性保持権(20条)
他方、著作権は、よく「支分権の束」と言われており、著作物の利用態様に応じて複数の支分権によって構成されています。著作権の支分権には以下のものがあります。
- 複製権
- 上演権、演奏権・上映権・公衆送信権、伝達権
- 口述権、展示権
- 頒布権、譲渡権、貸与権
- 翻訳権、翻案権等
- 二次的著作物に関する許諾権
また、著作者隣接権は、著作物等を公衆に伝達する者に与えられる権利であり、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に与えられる権利です。
そして、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者のそれぞれに、人格権、差止請求権を含む物権的請求権、金銭の支払を求めることができる債権的請求権が与えられています。
この著作者隣接権については、項を改めて説明することとします。
著作者人格権、著作権、及び著作隣接権は、特許権等とは異なり、著作物を創作したり、著作物を伝達することで発生するものであり、権利化のための一切の方式も必要ありません。
これは、一般的に無方式主義と言われており、日本の著作権法は、この無方式主義を採用しているのです。
著作権と人格権
著作権と著作者人格権、著作隣接を比較すると、次のような相違点が浮かび上がってきます。まず、著作者人格権は、著作者の人格的利益を保護する権利であり、著作権は財産的利益を保護する権利です。そして、著作権は原則として著作物の創作者に原始的に発生し、著作隣接権は著作物の伝達者に生じる権利です。
著作隣接権が発生したとしても、そのことにより著作権や著作者人格権が制限されることはありません。著作権と著作者人格権の性格の相違から生じる両者の権利内容の相違点をもう少し詳しく説明しますと以下のとおりです。
権利移転
著作者人格権は、一身専属的権利であるため、譲渡することができず、相続の対象ともなりません。
他方、著作権は、全てあるいは支分権の一部を限定して譲渡することができます。
権利消滅
著作者人格権は、一身専属的権利であるため、著作者が死亡すると消滅します。ただし、著作者の死後も著作者人格権を侵害することは原則として禁止され、遺族の差止請求権、名誉回復措置請求権が認められています。
他方、著作権は、原則、著作者の死後50年経過時に消滅する(51条)。