知的財産
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特許権

特許発明とは

先端技術特許とは、特許法により保護される発明(特許発明)のことをいいます。皆さんが普段使用されている「特許」という言葉がさしている意味は、この特許発明のことです。
このホームページでは皆さんが普段使用されるのと同様に特許発明のことを「特許」と表現することとします。

特許法により保護されている「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」をいいます。つまり、特許発明は、次の要件を満たしていることが前提となります。

  • 自然法則であること
  • 自然法則が利用されていること
  • 技術的思想であること
  • 高度な創作性があること

自然法則とは

自然法則とは、自然界において経験によって見いだされる法則のことです。例えば、万有引力の法則やニュートンの運動法則等がこれにあたります。

他方、ピタゴラスの定理や暗号作成方法等の数学又は論理学上の法則は含まれません。また、ゲームのルールや金融におけるリスク分散方法等の人為的な取決めも含まれません。さらに、催眠術のような心理法則も含まれないと解されています。 よって、これらが特許になることはありません。

技術とは

技術とは、一定の目的を達成するために具体的でかつ実施可能な手段であり、それが誰でも反復可能なものとされています。ですから、野球のフォークボールの投げ方のように個人の技能に依存するようなものは除外されます。

思想とは

特許は思想ですので、無形の観念ということになります。
ですから具体的な物や生産方法は、特許の一つの実施例であり、特許そのものではありません。特許が思想であることは、特許侵害の判断において非常に重要になりますので、是非忘れないでください。

高度な

特許は高度な創作性が求められていますが、一般的に「高度な」という部分については法的な意味はないと解釈されています。

なお、特許要件として「進歩性」が求められますが、この「進歩性」と「高度な」という要件とは別個の要件ですので、「高度な」という文言に法的な意味がないということと、特許に「進歩性」が必要であるということは相反するものではありません。

単なる発見

特許には創作性が求められていますので、従来からあるものを単に発見したというのでは特許とは認められず、新たに作り出す必要があるのです。例えば、新たに発見した鉱物や宝石は特許とはなりません。
注意が必要なのが、以前から存在する化合物等に新たな用途を見つけた場合ですが、これは新たな用途を創作したと評価されますので特許となります。一般的に言われる用途発明とはこのことです。

特許の種類

特許は、「物の特許」、「方法の特許」、「物を生産する方法の特許」に区別されます。そもそも、特許権とは、特許を独占的に利用(実施)することができる権利です。この独占的に利用することができる態様が上記した特許の種類によって異なります。

具体的には次のとおりです。

  • 物(プログラム等を含みます。)特許については、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含みます。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含みます。)をする行為
  • 方法の発明にあっては、その方法の使用をする行為
  • 物を生産する方法の発明にあっては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

特許権の侵害とは、詳しくは項目を変えて説明しますが、本来であれば権利者しか特許の利用(実施)をすることができないにもかかわらず、無断で利用(実施)することを言います。
ですから、特許権侵害か否かの判断において、特許の区別により独占できる利用(実施)の態様が何か非常に重要になります。特に、「方法の特許」と「物を生産する方法の特許」とは独占の対象となる利用(実施)の内容が全く異なります。

このことから、特許権侵害か否かを検討する際に、それが単なる「方法の特許」なのか「物を生産する方法の特許」なのかが大変重要になるのです。
皆さんも、特許権を取得する際、あるいは特許権を管理する際に、自社の特許が何れの特許であるのか常に認識して業務にあたる必要があると思います。

産業上利用可能性

特許法は、産業を発展させる手段として特許を保護することにしています。
ですから、特許は産業の発展に貢献できること、つまり産業上利用できるものでなくてはなりません。

産業とは

産業とは、工業に限られず、農林水産業、漁業、鉱業、牧畜業を含みます。他方、現在のところ、医療は産業に含まれないという運用がなされています。

医療は、人の身体、生命に直結するものですので、特定の者に独占させるのは適切ではないという考え方が根底にあります。
例えば、従前には存在しなかった非常に効果がある癌の治療方法が存在したとします。その治療法が特定の医者や病院に独占され、他の医者や病院では実施することができないとすれば、問題であろうと思います。

このような価値観もあって、医療行為そのものは特許の対象とはならないのです。しかし、治療に使用される医療機器や医薬品については、特許の対象となります。医療機器は機械であり、用途が医療であるに過ぎません。

また、医薬品は化合物等であり、医療に用いられるという性格を有しているにすぎません。
ですから、医療機器や医薬品については、それぞれがもっている性格から医療そのものではないという理由で特許の対象となるのです。

ただ、医療機器や医薬品についても人の生命・身体に関するものですから、医療行為と同様に特許の対象から除外するという考え方が存在してもおかしくはありません。

しかし、アメリカや欧州でも特許の対象とされており、日本だけがこれを認めないとすると医療機器産業や医薬品産業が対外的な競争力を維持できなくなってしまいます。

また、医薬品は、非常に多くの化合物質から医薬品として販売されるものは1000分の1程度に過ぎず、販売するまでに数百億円もの研究開発費を投じています。
このような医薬品を特許の対象に加えないと、だれも医薬品を開発する者がいなくなってしまいます。このような政策的な理由からも医療機器や医薬品は特許の対象とされているのです。

業として利用できるもの

特許は、業として利用できなければなりませんので、喫煙方法のように個人的な利用に留まるものは特許の対象とはなりません。
ただ、本質的には個人的を目的とした利用にあたりますが、それが業として利用できるもの、例えばパーマネントの方法等は特許の対象となります。

実施可能性

産業の発展に貢献するという以上は、その特許が実施可能なものでなくてはなりません。
例えば、地上に降り注ぐ紫外線量を減少させる方法として、地球の上空を紫外線吸収フィルムで覆うというようなものは、現在の技術力では実現不可能ですので特許の対象とはなりません。

科学技術は、日進月歩発展しており、近時においてはそのスピードが加速しています。
もしかすると、近い将来、紫外線吸収フィルムで覆うことも技術的に可能になるかも知れません。そのときには、この方法も特許の対象になりうるでしょう。このように、実施可能性というものは、時代によって変化します。

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