知的財産
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通関開放制度

輸入者の対抗手段

輸入差止は、申立人の権利を侵害していない輸入者にとって非常に重大な経済的損失を与えることになりかねません。
また、認定手続により2ヶ月程度侵害するか否かにについて争っていたのでは、当該物品の販売機会を完全に失ってしまう可能性もあります。そして、特許権、実用新案権、意匠権に関する認定は非常に微妙なところがあり、最終的にな判断は裁判所しかなしえません。

そこで、輸入差止申立が受理された特許権、実用新案権、意匠権に関する認定手続においては、輸入者が認定手続を取りやめることを求めることができる制度が設けられています。これが通関開放制度です。

通関解放制度
●特許権、実用新案権、意匠権の場合のみ

通関開放制度が適用されるのは、特許権、実用新案権、意匠権に関する認定手続に限定されます。
輸入者が認定手続の取りやめを請求できるのは、認定手続開始通知を受けた日から起算して10執務日を経過する日、期限の延長が行われた場合には20執務日を経過する日までとなっています。

なお、特許庁長官に対する意見照会が行われた場合には、輸入者が回答を受けた日から起算して10執務日を経過した日までとなっています。

認定手続が取りやめられて輸入が認められることになると、侵害物品が申立人の知的財産を侵害する場合申立人に損害を与えることが確実となります。

そこで、輸入者が通関開放制度を利用する場合には、税関に通関開放金を供託する必要があります。
通関開放金の金額は、通常輸入する物品の価格の20%程度とされていますので、通関開放制度を利用する場合には、認定手続を開始する旨の通知を受けたら直ちに準備する必要があます。

輸入者は、輸入品について侵害警告を受けた場合には、警告者による差止申立に関する税関の公開情報に注意を払う必要があります。
そして、警告者の輸入差止申立が受理されているようであれば、認定手続が行われる可能性が非常に高いですので、早期に輸入する必要がある物品については、事前に通関開放金を準備しておくことも検討すべきと思われます。

仮に、通関開放制度により輸入が認められた場合には、模倣品対策で説明しました仮処分、訴訟により輸入者、取扱業者と戦うことになります。

通関開放制度を利用する者は、一般的に権利者の権利を侵害していないと判断していますので、仮処分や訴訟においても鋭い対立が生じるものと予想されます。また、紛争が知財高裁、最高裁へと継続することも十分に考えられますので、通関開放制度が利用され輸入された物品に関する訴訟等については要注意であるといえるでしょう。

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