知的財産
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申立手続と認定手続

申立と認定の二段階の手続

認定手続きまでの流れ輸入差止の申立が受付けられますと、税関のホームページに公表されるとともに、税関において認識している利害関係者に対して、輸入差止の申立がなされている旨の連絡がされます。

ここで利害関係者とは、以下に列挙した者のことを指します。

  1. 差止対象物品の輸入者(輸入する予定がある者も含まれます。)
  2. 1. の者を除く差止対象物品の国内取扱業者
  3. 海外における差止対象物品(部品を含む。)の製造者及び輸出者

そして、利害関係人は、輸入差止の申立に対して、意見書を提出することができます。
この意見書の提出期限は、輸入差止申立を受付けた日から10執務日までとされています。また、利害関係者は、意見書提出期限の翌日から5執務日以内に追加意見書を提出することも可能です。

利害関係者から意見書が提出された場合、専門委員に意見照会を行うことになります。
専門委員は弁護士、弁理士等から構成されていて、原則3名の専門員により輸入差止申立を受理すべきかどうかについて意見を述べることになります。

専門委員に対する意見照会は、利害関係者から意見書が提出されなくとも、

  • 申立人と利害関係者との間で訴訟等の紛争が生じている場合
  • 将来紛争になる可能性が高いと判断される場合
  • 侵害の事実が疎明されているか否かの判断が困難である等

意見照会が適当な場合にも行われます。

そして、専門委員に対する意見照会が実施される場合には、意見書提出から1日程度で専門委員が決定され、さらに1日程度して当事者に通知されることになります。

その後、両当事者が出席する意見聴取の場が開催され、当事者から意見を聴取します。利害関係者は、意見聴取の場の開催日の7執務日前の日まで、追加意見書を提出することができます。

両当事者は、意見聴取開催日の翌日から5執務日以内に補足意見書の提出が認められています。補足意見書の提出は一度のみとされているので気をつける必要があります。

補足意見書提出から7日程度で専門委員の意見書が提出され、それに対して両当事者はさらに意見書を提出することができます。両当事者による意見書の提出は、専門委員による意見書送付日の翌日から5執行日以内とされています。

当事者の意見書が提出されてから7日程度後に受理・不受理・保留の決定がなされ通知されます。

裁判所、特許庁の判断を待った方がよいと考えられた場合には保留という決定が下され判決や審決等が下されるのを待つことになります。輸入差止申立が受理されますと、税関では侵害被疑物品の発見に努めます。

当事者に通知侵害被疑物品の発見がなされますと認定手続が開始され、当事者に通知されます。当事者は、認定手続通知書の日付の翌日から10執務日以内に証拠・意見書を提出することになります。証拠・意見書の提出期限は、期限延長願いを行うことで延長してもらうことも可能です。

当事者に意見・証拠の提出当事者は、対象となる権利が特許権、実用新案権、意匠権の場合、10執務日(最長20執務日)以内であれば、税関長に対して、技術的範囲あるいは類似する意匠に属するか否かについて、特許庁長官の意見を聞くことを求めることができます。

税関長は、当事者の求めがなくとも、職権で特許庁長官に意見を照会することができます。同様に、育成者権については農林水産大臣に、不正競争防止法に関する利益については経済産業大臣にそれぞれ意見を求めることができます。

侵害認定については、専門的知識が必要となり税関職員により判断することが非常に困難な場合が多くあります。そこで、認定手続が適正に行われるように、各省庁に対する意見照会制度が設けられているわけです。

反論書の提出当事者から証拠意見書が提出された場合、他方の当事者は、反論書を提出することができます。両当事者が提出した証拠、意見書、反論書を考慮して、侵害するか否かの認定を行うことになります。

侵害するか否かを判断することが困難な場合には、専門委員に対する意見照会が行われることになります。認定手続における専門員への意見照会は、

  • 並行輸入品であるか否か
  • 権利が消尽しているか否か
  • 先使用権が認められるか否か
  • 無効理由が存在しないか否か
  • 権利濫用に該当しないか否か
  • 試験研究目的の物品でないか否か

等が対象となります。特許庁長官、経済産業大臣、農林水産大臣に対して意見照会できる事項は照会の対象にはなりません。

専門委員による意見は口頭による陳述という方法がとられています。
このように、専門委員に対する照会の対象を限定したり、書面による意見を求めない理由は、手続を迅速にすすめるというところにあります。

つまり、侵害される権利が存在することを前提に形式的な権利侵害の有無を判断するのは各省庁に任せ、さらに実質的な理由により権利侵害を否定する事由の有無についての判断を専門委員に任せるという役割分担が行われているのです。

さらに、専門委員による意見は、書面化による時間のロスを省いているところに特徴があります。

当事者から要望があれば、意見聴取の場を開催し、両当事者が出席した上で直接意見を聴取されます。

認定結果を通知侵害するか否かの認定は、専門委員に対する意見照会が行われない場合で、認定手続開始通知から1ヶ月以内、専門委員に対する意見照会が行われ、かつ当事者から意見聴取の場の開催要求があった場合には認定手続開始通知から2ヶ月以内を目処として行われます。

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