事例
臨海工場地域で工場を運営する企業Aと他の複数企業が有害科学物質を排出していたところ、近隣住人Bに健康被害が生じた。
分析
どの企業が発した有害化学物質によりBに被害が生じたか不明の場合であっても、AがBに対して、損害賠償責任を負う場合がある。
関係法令、判例等
民法709条、719条
大阪地裁平成3年3月29日判決(判例時報1383号22頁)等
「共同不法行為が成立するためには、各行為の間に関連共同性があるこ とが必要である。共同不法行為における各行為者の行為の間の関連共同性については、必ずしも共謀ないし共同の認識あることを必要とせず、客観的関連共同性で足りる」
「大気は、人類の存在にとって必要不可欠の重要資源であるから、その正常な成分の維持は、人類共通の義務であり、重大関心事である。従って、これに人為的に異常な変更を加えることは、既にそれ自体危険性があるといえ、多量の汚染物質を排出する事業の事業者は、危険な業務を行う者として高度の注意義務を負担するものというべきである」