事例
企業Aの取締役Bが、自社製品の肉まんに未認可添加物が入っていることを知りつつ、敢えて公表せず放置した。
分析
Bの善管注意義務は印として、BはAに損害賠償責任を負う場合がある。AがBに損害賠償責任追及をしない場合、株主代表訴訟が考えられる。
関係法令、判例等
会社法355条、847条
大阪高裁平成18年6月9日判決(判例タイムズ1214号115頁)等
「コンプライアンス部門をして事実関係を徹底的に調査し、早期に適切な対応を取っていたとしたら、その後、ダスキンが消費者やフランチャイジーからの信頼を決定的に失うという最悪の事態は、相当程度回避できたものと考えられる。そのような措置を怠り、(中略)その違法性を知りながら了承し、隠ぺいを事実上黙認したこと、及び、公表の要否等を含め損害回避に向けた対応策を積極的に検討することを怠ったことにおいて、代表取締役社長としての善管注意義務の違反は明らかである。」「自ら積極的には公表しないとの方針については、同取締役会において明示的な決議がなされたわけではないが、当然の前提として了解されていたのであるから、取締役会に出席した上記その他の取締役らもこの点について取締役としての善管注意義務違反の責任を免れない。」