事例
企業Aに勤務する従業員Bが過労によりうつ病となり自殺した。
分析
従業員Bが過酷な労働環境にあり、完全に過労であったにも関わらず、Aが適切な軽減措置を取らなかった場合には、雇用契約上の安全配慮義務違反として、Aが損害賠償責任を負う場合がある。
関係法令、判例等
民法415条、709条、715条
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準」(平13・12・12 基発第1063号)「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平11・9・14 基発第544号)
最高裁平成12年3月24日判決(判例タイムズ1028号80頁)等
「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。」