営業利益の段階で黒字を確保することができない場合、不足する資金をどこかから調達することになります。
金融機関
資金の調達先としては第一に金融機関があります。しかし、金融機関は返済の目途のない先には融資を行うことがありませんし、金融機関から融資を得るために決算書類等に手を加えてしまうと、後々の破産手続において問題となるため回避すべきです。
取引先
金融機関から融資を受けることができないとき、次に資金を用立てる先としては取引先になります。
取引先から資金を用立てるというのは、取引先から金銭の借入れを行うことを意味しているのではなく、決済条件の変更です。
全ての取引先に対して「月末締め、翌月末払い」という決済条件を「月末締め、翌々月末払い」に変更するだけで、取引先に対する一月分の支払資金が手もとに残る計算になります。これも立派なファイナンスです。
しかし、このような決済条件の変更を行った上で最終的に事業を清算するということになりますと、取引先が回収することができない債権が増大することになります。仮に、決済条件を変更して間なしに事業を清算すると取引先が感情的になり、後日の破産手続が長期化する原因にもなります。
家族、親族、友人
金融機関から借入れを行うことができず、取引先との決済条件の変更にも応じてもらうことができなくなった場合に、家族や親族から借入れを行って事業を継続することが少なからずあります。
営業利益を黒字に転換することができない事業にお金をいくら投入しても何時かは事業を清算せざるを得なくなります。
この結果、家族や親族から「必ず返す!」と約束したお金を返すことなく自己破産をすることになり、最も身近な人から恨みを買うことにもなりません。
自己破産を決意された方で、「家族、親族、友人には迷惑をかけることができない」と判断され返済される方がいますが、破産手続ではこのような返済は否認され破産財団に返金を強いられることになるだけです。また、このような行為は、偏頗弁済という法律では禁止された行為ですので、経営者の方の債務の免責を受けることができない原因にもなります。
トラブルを回避し、早期に経済的な立て直しを図るという意味では、家族、親族、友人から金銭を用立てて事業を継続しないということが鉄則になります。
つまり、家族、親族、友人から金銭を用立てなければ事業を継続できない時期というのが、事業の清算【破産】を決意する最終段階であるということを忘れないでください。