定型約款
大量の取引を迅速かつ安定的に行うために,約款を用いた契約が日常的に行われていますが,約款を用いた取引を行う多くの顧客は,約款に記載された内容を確認することなく契約を締結しています。
民法の原則によれば,契約の当事者は,契約の内容を認識した上で合意しなければ契約に拘束されることがありませんが,約款に記載された内容を個別に確認することなく契約を締結した顧客を,定款に記載された条項によって拘束することができるかという問題がありました。
また,定款は,法令の変更や経済環境の変動に応じて一方的に変更されることがあり,約款では,約款が一方的に変更されることある旨の規定が設けられています。
民法の原則によれば,約款が変更された場合には,相手方の個別同意が必要になりますが,現実には,相手方の個別同意をとることは行われておらず,変更された約款の拘束力が問題となります。
そこで,今回の民法改正では,約款を用いた取引の法的安定性を確保するため,定型約款に関する規定が設けられました。