経済産業省/ 特許庁 「デザイン経営」宣言 公表

経済産業省と特許庁は,企業のブランド力とイノベーション力を向上させるためにデザインを活用する提言をまとめた「デザイン経営」宣言を公表しました。

デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営のことを「デザイン経営」と呼び,日本の企業に「デザイン経営」への取組みを促す内容になっています。

あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT」の時代になると,商品は情報収集するための端末という位置づけになり,収集された情報に基づき新たなビジネスモデルが創出される中で,商品そのもの位置づけが低下することになります。

商品そのもの位置づけの低下にともない,商品に対するデザインを行うことの価値も低下し,商品のみを対象とするデザイナーの存在価値も低下することになります。

この結果,デザイナーは,価値創造サイクルにおいて端末に過ぎない商品のみを対象としてデザインを行うのではなく,収集された情報に基づき創出される新たなビジネスモデルそのものをデザインしていくことになります。

ところで,これまでのユーザーは,提供された商品を選択するだけの存在に過ぎませんでしたが,「IoT」時代になると,ユーザーは,商品によって得られる体験の質を求めるようになり,ユーザーが求める体験の質を充たすことができないビジネスモデル,その中で端末に位置づけられる商品は,ユーザーから支持を得られなくなります。

当然のことながら,デザイナーは,ユーザーが求める体験の質を充たすべくビジネスモデル構築の段階から関与することになります。 「デザイン経営」宣言において,「デザイン経営」と呼ぶための必要条件の一つとして「事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること」が挙げられていますが,この条件が示されている理由は,IoT時代におけるデザインの対象が,ユーザーが求める体験の質を充たすことができるビジネスモデルの構築にあるからです。

そして,「デザイン経営」と呼ぶための必要条件のもう一つとして「経営チームにデザイン責任者がいること」が挙げられていますが,この条件は,ビジネスモデル構築の段階で,有意な発言を行い,ビジネスモデルの変更等を行いうる権限を有するデザイナーを関与させるための制度的担保といえます。

ところで,「デザイン経営」宣言において,デザインは,ブランド力を向上させるもの,また,イノベーション力を向上させるものとしてとらえられており,これらの効果によって企業競争力を向上させるとされています。

端末である商品から様々な情報を収集し,それを分析することにより,ユーザーニーズを満たしたビジネスを提供する,あるいは,ユーザーに新たな価値を提供することで潜在的ニーズを掘り起こすことができます。

そして,顧客ニーズを満たす,新たな価値を提供する際に,企業が大切にしている価値が反映されることになるのですが,それが全てのビジネスモデルに統一的に表現され,それがユーザーに受け入れられ,代替性がないものであると認識されるとブランドとして認識されるようになります。

また,新たな価値を提供するには,イノベーションを実現する力が必要になります。 「デザイン経営」宣言においては,イノベーションが,研究室の中で行われる新たな技術の創造などではなく,社会において受け入れられ,その結果として社会を変革する技術の創造であるととらえられています。 そして,研究室で創造された技術を社会において適用可能ならしめるもの(研究開発と社会実装とのかけはし)としてデザインがとらえられています。

ユーザーと共感し,ユーザーが気づいていない新たな価値を提供することがデザインであるならば,新たな価値を実現する技術を社会に実装可能な形に整えること(研究開発と社会実装とのかけはし)がデザインであるというのは,当然のことであると思います。

デザインというものの定義が再構築され,デザインの対象や目的が見直されるようになったことで,デザインがブランド力向上につながる,また,イノベーション力向上につながるということを意識して新たなビジネスモデル構築していく,また,それを実現できる体制を整えていくことが必要になります。

「デザイン経営」宣言では,デザインに投資することで4倍の利益を得られるという調査結果や,Design Value IndexがS&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍成長したという調査結果,デザイン賞に登場することが多い企業(166社)の株価がFTSE indexと比較して10年間で約2倍の成長を遂げているという調査結果を紹介し,日本の多くの企業が「デザイン経営」を行い得ていない事実を指摘しています。

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