弁護士視点で知財ニュース解説

ZIPPOによる商標管理

ZIPPO(ジッポー)社は,平成26年8月18日,米たばこ大手ロリラードの子会社であるシグネットUKトレーディングが独国内で電子たばこ「ブルー」を販売する行為が,ZIPPO保有の商標「ブルー」の商標を侵害していることを理由に,独裁判所に対して電子タバコの販売を仮に差止めることを求めたところ,同裁判所が販売の仮差止めを命じたと発表しました。

ZIPPO社は,日本においても非常に有名で,オイルライターの代名詞のように使用されていますが,それだけにZIPPOとしても自身の商標が稀釈化されないように厳格な商標管理を行っています。

過去に,「ZLPPO」の表示をロゴとして,サイトにおいても「zlppo.com」をドメイン名として使用している中国の会社2社に対して使用差止と損害賠償を求める請求を行ったと報道されたこともありました。

ZIPPO社が保有するZIPPO以外の商標についても厳格に管理を行っているようで,「ブルー」の商標についても,先に紹介した独国での仮差止めだけでなく,米国など他の国々でも訴訟を提起しているようです。

ZIPPOといえば四方が丸みを有する長方形のオイルライターの形状が非常に有名ですが,ZIPPO社は,平成15年に,このオイルライターの形状を立体商標として登録すべく出願を行いましたが,特許庁で登録が認められず,平成20年7月10日に登録されないことの特許庁での決定が確定しています。

特許庁での拒絶査定不服審判の審決では,
「商品等の形状は,本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり,あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり,本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして,商品等の形状に特徴的な変更,装飾等が施されていても,それは,前示したように,商品等の機能,又は美感をより発揮させるために施されたものであって,本来的には,自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく,全体としてみた場合,商品等の機能,美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には,これに接する取引者,需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり,このような商品等の機能又は美感に関わる形状は,多少特異なものであっても,未だ,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。また,商品等の形状は,同種の商品等にあっては,その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから,取引上何人もこれを使用する必要があり,かつ,何人もその使用を欲するものであって,一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。そうとすれば,商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして,商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については,使用をされた結果,当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず,取引者,需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し,商標登録を受けることができないものと解すべきである。」と立体商標に関する一般論を示した上で,ZIPPOライターの形状は,「単にキャップの上部にやや丸みがある縦長のライターの一形態を表した立体的形状よりなるものと認められるから,これをその指定商品中『ライター』に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品の機能・美感等を発揮する目的で採択されたデザインとしての商品の形状の一形態を表示したものと理解するにとどまり,自他商品を識別するための標識とは認識し得ないと判断するのが相当である。」と判断され,ZIPPO社の立体商標の登録を認めませんでした。

特許庁,知財高裁の立体商標に対する考え方は,上記のとおりであり,現在においても変更されていません。
その中で,ヤクルトの容器やコカコーラのボトルについては商標登録が認められています。

立体商標においてポイントとなるのは,
当該形状等が特定の商品やサービスの出所を示す機能を有するか否か
当該形状において発揮する機能が,特段の費用を要することなく他の形状においても発揮することができるか否か
の2点です。

スーパーカブの立体商標登録例のように近時は以前よりは立体商標の登録が認められやすくなっている傾向にあるように感じてはいますが,上記した2点が抑えられていないものの形状の商標登録が認められないことについては現在においても変わりはないので,留意する必要があります。

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