弁護士視点で知財ニュース解説

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Twitch 新たな著作権保護ポリシー発表

ビデオゲームストリーミングサービスを提供しているTwitchが,新たな著作権保護ポリシーを発表しました。

ストリーミング とは,動画のようなサイズの大きいファイルをダウンロードしながら同時に再生をすることにより,ユーザーの待ち時間を大幅に短縮するダウンロード方式のことです。

このストリーミング技術を応用して,ネットワーク上においてライブ配信も可能になりました。

Twitchは,ストリーミング技術を用いて対戦ゲームなどの実況プラットフォームを提供しているのですが,ビデオオンデマンド(VOD)をスキャンし,ゲーム内およびBGM楽曲の不正使用を調べるために,Audible Magicの音声認識技術を採用する予定だと発表しました。

具体的な音楽不正使用を防止する仕組みは,30分間のブロックをスキャンし,Audible Magicのクライアントに帰属する楽曲の不正使用が検出された場合は,そのブロック全体がミュートされるというもののようで,この結果,VODコンテンツの大半で,楽曲が流れなくなる可能性があるそうです。

Twitchの発表によると,「われわれは著作権者の権利を尊重しており,配信者と著作権者の双方を守るため,今回の取り組みに自主的に取り組んでいる」,「Audio Recognitionが実行されるのは,VOD内の楽曲のみとなる。われわれは,ライブ配信のスキャンは行っておらず,ライブコンテンツを自動的に削除することはない」とされています。

また,Twitchは,「これによって,誤判定されたり(音楽の不正使用ではないにもかかわらず不正使用と判定され,使用された音楽がミュートされたり),Audible Magicと提携していない著作権所有者のコンテンツが見逃されたりする可能性はある」と発表したうえで,誤判定を回避するための提案もいくつか行っています。

音楽が不正使用されたVODコンテンツの配信を放置した場合,Twitchが音楽の配信を差止められたり,放置した点に過失が認められた場合には損害賠償義務も負うことになりますので,Twitchとしても音楽の不正使用に対して何らかの対策を取る必要があります。

Twitchでは,「ブロードキャスター」と呼ばれるゲームの実況中継を行う人がおり,著名なブロードキャスターの場合には,実況中継により多額の収入を得ていることになります。仮に誤って音楽の不正使用であると判断され音楽がミュートされ,この結果視聴者の数が減少し収入が減少するという事態に至った場合には営業侵害による損害賠償責任を負うことになりかねません。

また,著名なブロードキャスターではなく実況中継により収入を得ていないとしても表現の自由が侵害されたと評価された場合には,同様に損害賠償責任を負うことになりかねません。

今回の著作権保護ポリシーは,買収予定であるyou tube を意識してのことであると報道されてはいますが,基本的な考え方は誤っていないと思いますが,ブロードキャスターに対する対応を適切に行っていくことが課題になるものと考えています。

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