弁護士視点で知財ニュース解説

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営業秘密を侵害する犯罪の罰則強化

自民党が営業秘密を侵害する犯罪の罰則を強化,営業秘密の侵害に関する訴訟での立証容易化を行うための法改正について検討を行っていることが判明しました。

特許,実用新案等の登録が行われていない技術情報,特許,実用新案等の対象にならない営業情報は,情報が秘密として管理され,事業を行ううえで有用なものについては不正競争防止法によって保護されます。

不正競争防止法では,罰則規定が定められており,不正競争防止法が定める不正競争行為を行った場合には刑事罰の対象となります。

近年の日本の技術情報の海外への流出の状況に鑑み,不正競争防止法の罰則規定は強化されており,平成15年,平成17年,平成18年,平成21年,平成23年にそれぞれ法改正が行われています。

営業秘密に関する現行の刑事罰は,不正競争行為の内容にもよりますが,最高で10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金とされています。

また,不正競争行為を行った者が所属する法人に対しても,最高で3億円の罰金が併科されます。

不正競争防止法の罰則規定は頻繁に変更され,改正ごとに処罰の対象が拡大され,重罰化されているにもかかわらず,営業秘密を侵害する犯罪が繰り返されています。

5月13日にも,日産自動車の元従業員が主力車の販売戦略情報を不正取得したとして,神奈川県警が元従業員を逮捕したという事件が報道され,今後も同種の事件が発生することが予想されます。

不正競争防止法の罰則強化,刑事裁判が迅速行われるための手続法の整備は,必須であると考えます。

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