弁護士視点で知財ニュース解説

ホンダ・スーパーカブ 商標登録に

ホンダは,5月26日,二輪車の「スーパーカブ」の形状が立体商標として登録が認められたと発表しました。

立体商標は,平成9年に日本において導入されました。

それ以前は,文字,図形,記号これらを結合したもの,すなわち二次元で表現されたもののみを商標として登録することが可能であったのですが,立体で表現された看板キャラクターが商品やサービスの出所を示すものとして少なからず存在し,それらを商標として登録する要望が強かったため,欧米諸国にならって導入された制度です。

現在まで登録されている立体商標で有名なものに,不二家のぺこちゃん,コカコーラ―のボトル,出光のガソリンスタンドの店舗形状と色彩,横浜ゴムの店舗形状,ファミリーマートの店舗形状と色彩等があります。

争いになった事例としては,サントリーの角瓶(知財高裁平成14行ケ581号事件)やひよこ饅頭(知財高裁平成17(行ケ)10673号事件)などがありますが,サントリーの角瓶については特許庁において登録を認めない判断がなされ,知財高裁においてもかかる判断が維持され,ひよこ饅頭については特許庁において登録が認められたのですが,知財高裁において登録が取消されてました。

近年,緩和傾向があるといわれながらも,立体商標の登録は,非常に難しいといわれてきました。

立体商標において問題となるのは,以下の点です。

  1. 当該形状等が特定の商品やサービスの出所を示す機能を有するか否か
  2. 当該形状において発揮する機能が,特段の費用を要することなく他の形状においても発揮することができるか否か

そもそも商標とは特定の商品やサービスの出所を表示する機能(識別性)を営むものですので,かかる機能を有さないものは商標として登録することができません。

そして,立体的形状の場合,平面と比較して選択できる幅が限られている場合が多く,多くの者が類似した形状を使用している場合も少なく,立体商標の場合には特に識別性の問題がクローズアップされます。

また,特定の機能を発揮するために特定の形状を取らざるを得ない場合(技術的に不可避な形状)には,当該形状を商標として特定人に独占させると,結果として特定人に当該技術の独占を認めることになります。

このことは,技術的には代替の形状を採りうるが,それを選択するには多くの費用を要する場合についても同様のことがいえます。

そこで,上記の点が問題になります。

ホンダの「スーパーカブ」は,1958年の発売から一貫したデザインコンセプトを維持し,「スーパーカブ」の形状が他の二輪車と区別することができ,「スーパーカブ」を見れば,多くの人がホンダの二輪車であると判断できるという点が評価されて登録に結びついたものと思われます。

また,「スーパーカブ」と異なる多くの二輪車が存在することからも,技術的に不可避な形状,代替形状を選択するにたあり多くの費用を要するというものでもありません。

欧州ではフォルクスワーゲンの「ビートル」が立体商標登録された例がありますが,日本において乗り物の形状が立体商標として登録されたのは初めての例です。

今回の事例が,狭き門といわれた立体商標の登録にはずみをつけることを期待します。

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