弁護士視点で知財ニュース解説

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店舗での生演奏

日本音楽著作権協会(JASRAC)が、管理する楽曲をキャバクラ店がピアノで生演奏しているのは著作権侵害だとして訴えた事件について,東京地裁は平成26年6月26日,キャバクラを経営する3社に対し,生演奏の差し止めや約1570万円の支払いなどを命じました。

音楽の著作物には,演奏権という著作権が存在し,演奏権とは,譜面に従って楽器により音楽を奏でる行為と,歌唱より音楽を表現する行為の両方が含まれます。また,著作権法上では,生の演奏だけでなく,演奏を録音した物を再生する行為も含まれるとされています。

そして,この演奏権は,音楽の著作物を創作したもの(著作者)に帰属します。

JASRACは,管理楽曲を,ピアノで奏でる行為が演奏権を侵害するものとしてキャバクラ店に対し,差止めと損害賠償を求めていました。

キャバクラ店を経営する3社は「演奏と収益は関係がない。ピアノはインテリアとしての要素が圧倒的に強い」などと反論していましたが,東京地裁は,「演奏で雰囲気作りをした店を好む客を集め、利益を増やす狙いだった」と判断し,反論を退けました。

音楽の著作物の演奏権侵害は,かなり以前より問題となっていました。例えば,喫茶店,クラブなどでCDなどの録音物を使用してBGMなどを流す行為が演奏権を侵害する行為になります。
旧著作権法では,録音物を公衆に向けて流す行為は著作権侵害行為とされておらず,喫茶店などで音楽を流すこと普通に行われていました。

しかし,1971年に著作権法が改正され,録音物を使用して音楽を流す行為も演奏権を侵害するものとされ,それを直ちに施行すると社会が混乱するとの理由で,録音物の演奏に関する演奏権侵害については「当分の間」演奏権を侵害しないものとして取り扱うとされてきました。

このような日本国内での取り扱いは,ベルヌ条約違反の疑いがあると他国から指摘されていたこともあり,1999年になって録音物を使用して音楽を流す行為も演奏権を侵害するものとされました。

ですから,現在では,本件のような生の演奏のみならず,録音物により音楽を流す行為も演奏権の侵害となりますので,お店を経営されている方は注意が必要です。

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