弁護士視点で知財ニュース解説

クラウド保存で課金?

平成25年7月23日に開催された「文化審議会著作権分科会」の「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」におけるJASRAC(日本音楽著作権協会)の浅石道夫氏の「ロッカー型クラウドサービス」に関する発言がネットで話題になっています。

「ロッカー型クラウドサービス」とは,個人に帰属する,あるいは利用権を持つデータをネット上に保存することができるサービスで,様々な端末からでもデータにアクセスすることができる,端末に不具合が発生してもデータを守ることができる,端末の負荷を軽くすることができる,大容量のデータを保存することができるなどのメリットがあり,多くの方に利用されています。

音楽の関係でいえば,購入した音楽のデータをクラウドに保存することで,様々な端末で音楽を聴くことができたり,端末を買替えた際に音楽データを移し替える必要がない等のメリットがあります。


浅石氏は,この「ロッカー型クラウドサービス」を利用して音楽を保存する行為を,「フリーライド。外から見えず,権利者側は利用者実態を把握できない。クラウドサービス事業者は技術的には中身を把握できるはず」,「音楽市場に打撃。人の背よりも高い大きなサーバーに個人の領域とは言えない莫大な容量で私的利用とは言えない」と発言したようです。

浅石氏の発言は,JASRACがクラウド事業者に対して,データ保存を行うことによる著作権利用料を徴収するための包括契約の締結を求めたものであると理解されており,ネット上で様々な批判を受けています。

浅石氏の発言が多くの方の反感を買った理由は,現実世界との比較であまりにも違和感があったからではないでしょうか。

大量のCDの保管場所に困り貸倉庫に保管した場合に貸倉庫業者がCDの著作権使用料を支払わなければならないということにはなりませんが,それとの対比で,クラウド事業者が著作権使用料を支払わなければならないということに違和感を覚えるのではないでしょうか。

確かに,倉庫業者とクラウド事業者では,クラウド事業者は音楽データを複製して保管している,容易に音楽データを使用することができる,容易に不特定多数に音楽データを送信することができるという違いはあります。

しかし,クラウド事業者が他人のデータを使用する,あるいは不特定多数に送信するということなど通常では考えることができません。

ですから,問題はデータを保管するために技術上サーバーにデータの複製を行っている点になりますが,このような行為は著作権法上の複製に該当し,著作権者や管理業者の許諾がなければできないことになります。

しかし,サーバーへの複製は,著作物の本来的な使用を前提にしたものでありません,対価を支払って著作物の使用許諾を得た者の著作物の利用を阻害することにもなります。

他方,サーバーへの複製にあたり著作権利用料を支払わなければならないということになりますと,著作権者が利用料の二重取りということにもなり著作物の利用者の納得は得られないと思います。

「ロッカー型クラウドサービス」と複製の問題は,著作権法が時代に追いついていないことにより発生している問題ですので,早期に立法的解決を行うべきではないかと考えています。

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