弁護士視点で知財ニュース解説

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マイクロソフトがジャストシステムに警告

日本マイクロソフトは,平成26年7月上旬ころ,ジャストシステムに対し,「JUST Office」のユーザーインタフェースが,Microsoft Officeのリボンインタフェースに類似していることを理由に,日本マイクロソフトの著作権を侵害する,あるいは不正競争防止法の不正競争行為に該当するため販売を差止めることを求める警告書を送付していたようです。

報道からは,日本マイクロソフトが主張する著作権侵害の内容や不正競争行為の内容は特定できませんが,著作権侵害については,おそらくリボンインタフェースの画像が著作物であり,その画像を複製あるいは翻案していると主張しているのではないかと考えています。

また,不正競争行為については,リボンインタフェースが周知あるいは著名であり,これを見ればマイクロソフトが提供するソフトであると判断できる,いわゆる「出所表示」の機能を有するに至っているとして2条1項1号あるいは2号の不正競争行為に該当すると主張しているのではないかと考えています。

日本マイクロソフトは,平成25年6月19日にも,ジャストシステムに対して,同社のユーザーインタフェースが不正競争行為に該当するという内容の通知書を送付しており,今回が二度目の通知ということになります。

ユーザーインタフェースに関する紛争は,度々発生しており,近年では平成22年以降のアップルとサムスン電子との訴訟が有名です。

また,ジャストシステムは,以前,パナソニックとも「一太郎」のアイコンに関する特許権侵害で訴訟を行っており,一審の東京地裁では敗訴しましたが,二審の知財高裁では逆転勝訴(平成17年9月30日判決)した経験があります。

この事件は,知財高裁が設けられた直後の事件であったこと,5人の裁判官が判断する大合議事件であったことから,当時,非常に有名な判決となりました。

判決の概要は,ジャストシステムのアイコンはパナソニックの特許権を侵害しない,パナソニックの特許権は,当業者であれば,公知技術から容易に想到することができる発明であるため無効であるというものでした。

今回の件で,ジャストシステムは正式な回答を行うことを発表していますが,既に表明されている同社の主張を前提とすると,日本マイクロソフト社の主張を否定する内容の回答書を送るものと思われます。

これを受けて,日本マイクロソフトがどのような対応を行うのか注目されるところです。

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