弁護士視点で知財ニュース解説

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「スカイウォーカー」は商標侵害?

イギリスBBC放送が伝えたところによりますと,2008年から自分のミドルネームとして「スカイウォーカー」という名前を使用している女性が,パスポート更新の際に自分のサインとして「スカイウォーカー」を申請したところ,「商標権に関わる」との理由で拒否されたそうです。

「スカイウォーカー」は「スター・ウォーズ」の登場人物にちなんだ名前で,この女性は,運転免許書や銀行のカードに使用していたようです。

商標は,商標を使用する商品やサービスを特定して登録し,商標権は,指定商品や役務と同一あるいは類似する商品や役務にしか権利が及びません。

おそらく,「スカイウォーカー」という名称は,世界的にも有名な名称であるため,非常に多くの商品やサービスを指定して登録されていると思いますが,当然のことながら指定する商品や役務には,人が氏名として使用するというものは含まれていません。

そもそも,商標は,「業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用するもの」,「業として役務を提供し,又は証明するものがその役務について使用するもの」をいいますので,人が氏名として使用するものは商標ではありません。

また,商標の使用とは,

  1. 商品又は商品の包装に標章を付する行為
  2. 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
  3. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
  4. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
  5. 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
  6. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
  7. 電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
  8. 商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

を指しますので,人の氏名として使用する行為は,商標の使用にあたりません。

ですから,日本の商標法上では何ら問題がありませんし,おそらくイギリスの商標法との関係でも同様のことが言えるはずです。

私もときおり同様の質問を受けることがあるのですが,登録された商標が存在するという理由で,その商標と同一あるいは類似の言葉や図柄が,どのような場合にも一切使用が認められないというわけではありません。

まず,登録された商品の指定商品,サービスを確認し,自身の使用が商標的使用と言えるのかを確認する必要があるのです。

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