弁護士視点で知財ニュース解説

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海賊版流出が興行収益を直撃

米BOX OFFICE MOJOが発表した平成26年8月15日ないし同月17日の全米週末興業成績によりますと,

  • 1位は,「ミュータント・タートルズ 」で2,840万ドル(累計1億1,764万2,000ドル)
  • 2位は,「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で 2,473万5,000ドル(累計 2億2,228万1,000ドル)
  • 3位は,「Let's Be Cops」で 1,770万ドル(初登場・累計 2,610万7,000ドル)
  • 4位は,「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」で1,620万ドル(初登場)

になったそうです。

「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」は,「シルヴェスター・スタローン」,「ハリソン・フォード」,「メル・ギブソン」,「アーノルド・シュワルツェネッガー」,「アントニオ・バンデラス」,「ジェット・リー」,「ウェズリー・スナイプス」などが出演しており,「100年に1度の奇跡の顔合わせ」と言われている注目の映画です。


このような「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」は,米国においても非常に注目されている映画で,多くの方が,興行収入は初登場1位になるものと考えていました。

ところが,BOX OFFICEの週末ランキング4位スタートというまさかの結果となりました。

そして,この原因は,VARIETY誌が報じた平成26年7月31日の本編ネット流出にあるのではないかと言われています。

インターネットのファイル共有サイトにアップされたのは平成26年7月23日で,翌日の24時間後には189,000回以上ダウンロードされ,Excipioの発表では7月27日の時点で1,130,000回以上ダウンロードされているようで,現在までに220万人もの人が本編を閲覧したとも推計されています。

今回のBOX OFFICEの週末ランキングの結果が「お祭り映画」に対する関心の低さが原因であるのか,あるいは,ネットでの本編流出が原因であるのかは不明ですが,仮にネット流出に原因があったのであれば非常に由々しき事態であるという他ありません。

インターネット自体は,言うまでもなく技術的に中立であり,現在の生活ではなくてはならないものですが,それが悪用されることにより今回のような威信をかけたような映画の出鼻をくじくことになるのは非常に残念なことです。

日本でも平成26年11月1日に公開予定です。この「お祭り映画」の公開を楽しみにしている方も多いのではないかと思います。

平成24年著作権法改正により,私的使用の目的で,有償で提供等されている音楽・映像の著作権等を侵害する自動公衆送信を受信して行う録音・録画を、自らその事実を知りながら行うこと(違法ダウンロード)は刑事罰の対象となっています。

今回のダウンロードが無償の場合にはダウンロードを行ったとしても刑事罰の対象にはなりませんが,著作権を侵害していることには間違いありません。

どうか,迫力満点の映画を映画館で見るようにして欲しいと思います。

そして,日本人の著作権を尊重する精神を米国や世界中に示して欲しいと思います。

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