弁護士視点で知財ニュース解説

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カプコン 特許侵害でコーエーを訴える

カプコンは,コーエーテクモゲームスの「戦国無双」シリーズのシステムがカプコンの特許を侵害しているとして大阪地裁に対し訴訟提起し,平成26年8月26日第一回口頭弁論がありました。

報道の内容によると,カプコンの主張は,「戦国無双」シリーズが,カプコンのキャラクターやシナリオが増える仕組みに関する技術,敵のキャラクターなどの存在を振動で知らせる仕組みに関する技術がコーエーによって無断で使用されているという内容のようです。

報道の内容を基にカプコンの特許権を確認しますと,
キャラクターやシナリオが増える仕組みに関する技術というのは,

平成6年12月9日に出願され,同14年9月20日に登録された特許(第3350773号)で,拡張プログラム等が標準プログラム等に対し,キャラクターの増加,キャラクターのもつ機能の増加,場面や音響の増加をもたらす技術となっています。

また,敵のキャラクターなどの存在を振動で知らせる仕組みに関する技術というのは,

平成6年5月31日に出願され,平成14年4月12日に登録された特許(第3295771号)で,キャラクターが特定の状況に置かれた場合に,その特定の状況を判断する手段と振動状況を発生する手段等によって構成される技術となっています。

特許権の存続期間は,権利が登録されたときからではなく,出願のときから20年と定められていますので,キャラクターやシナリオが増える仕組みに関する技術については平成26年12月9日に特許権が消滅し,敵のキャラクターなどの存在を振動で知らせる仕組みについては平成26年5月31日に特許権が消滅しています。

特許権が既に消滅した場合には,将来の特許権侵害を排除する差止請求は認められませんが,過去の侵害に対する損害賠償請求は認められます。

但し,損害賠償請求についても,侵害行為の存在を知ったときから3年を経過したものについては時効となりますので請求することができなくなります。

カプコンは,おそらく,キャラクターやシナリオが増える仕組みに関する特許権に基づき差止請求と損害賠償請求を行い,敵のキャラクターなどの存在を振動で知らせる仕組みに関する特許権に基づき損害賠償請求のみを行っているものと思われます。

報道の内容を見ていますと,カプコンは,コーエーが特許権を侵害したゲームにより少なくとも計約97億3000万円を売り上げたとして,それぞれ5から10%のライセンス料に相当する損害として約9億8000万円の賠償を求めています。

コーエー側は,特許侵害の事実を否認しているようですし,今後,カプコンの特許権が無効であることの主張,損害賠償請求権の時効消滅の主張を行うことが予測されます。

先に説明したように平成26年12月9日にはいずれの特許権も消滅し,それまでに判決が下されることはないでしょうから,本件訴訟の焦点は損害賠償請求が認められるか否かに絞られるものと思われます。

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