弁護士視点で知財ニュース解説

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産地偽装に対する制裁

山口県警は,平成26年8月4日,同県内の水産加工販売会社が韓国産アサリを熊本県産と偽って販売していたとして,同社の社長を逮捕したと発表しました。

県警は,中国四国農政局や山口県から情報提供を受けて捜査していたところ,同社が平成25年1月から3月にかけて韓国産アサリ計約8000kgを熊本県産と偽り販売していた疑いがあり,同社社長などは容疑を認めているとのことです。

産地偽装問題は,今回の件だけではなく,度々報道されており,今回のように警察に検挙される例も少なくありません。

このような産地偽装行為は,不正競争防止法より規制されています。

不正競争防止法は,「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため,不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ,もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的と」して定められた法律です。

不正競争防止法では,不正競争行為が限定的に列挙されており,いかなる行為が不正競争行為になるかは2条1項において定められています。

不正競争行為の代表的なものは,他人の周知,著名な表示を使用する行為(1号,2号),商品形態を模倣する行為(3号),営業秘密の不正開示や不正使用行為(4号から9号),閲覧制限やコピー制限がかけられているものを突破する行為(10号,11号)などがあります。

そして,13号では,原産地,品質などを偽る行為を不正競争行為と定められています。

不正競争防止法では,不正競争行為により直接被害を被っている者が差止めや損害賠償を求めて民事訴訟を提起することにより不正競争行為が抑止され,結果として事業者間の公正な競争を実現するという方法を採用しています。

但し,不正競争防止法には罰則規定が存在し,事業者による差止めや損害賠償だけでは,抑止力が不足するという場合には刑事制裁が科されることになります。

今回のような産地偽装の場合には,5年以下の懲役,500万円以下の罰金,あるいはこれらが併科される可能性があります。

度々産地偽装の検挙事例が報道されていますが,警察は,不正競争防止法の罰則規定に基づいて不正競争行為者を検挙しているのです。

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