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マンガの海賊版対策 著作権法改正

日本のアニメや漫画の海賊版が海外で流通しており,海賊版流通により平成25年度の損害額が経産省の試算では2兆円とも言われています。

海賊版については,コンテンツ海外流通促進機構(CODA)を中心に各社協力して対応を行い,また,海賊版を配信しているサイトの削除,著作権者に正規版流通に注力してもらう,海賊版配信会社とライセンス契約を締結することで正規版とするなどの方法により海賊版対策が行われているところです。

ところが,アニメとマンガとでは著作権に基づく権利行使の主体に相違があり,この違いによりアニメでは比較的対策が進んでいるにもかかわらず,マンガについては対応が進んでいないという現状があります。

アニメは,著作権法では映画の著作物となり,マンガをベースに制作されたものであっても,マンガとは別の著作物になります。

そして,アニメの場合には,制作に際して,原作者(マンガを製作した者)との契約で,配信会社に著作権が帰属するのが一般的です。

また,主要な配信会社は,コンテンツ海外流通促進機構に属しており,会社の意思決定のみで海賊版対策を行うことができます。

他方,マンガについては,出版社が出版権の設定を受けて出版します。

そして,出版権者は,著作権法により,出版権を侵害してマンガを流通させている者に対して差止請求権や損害賠償請求権が与えられているのです。

ところが,差止や損害賠償の対象となる第三者の流通方法は,著作権法では,コミックなどの現実世界での流通に限定されています。

つまり,現在問題となっているネット上での海賊版に対しては差止請求や損害賠償請求ができません。

この結果,ネット上での海賊版は,コミックの原作者に行ってもらう必要があるわけですが,コミックの原作者が海賊版対策を行っていないのが現状で,コミックの海賊版対策が進んでいない原因になっています。

平成26年4月25日に著作権法が改正され,出版権がネット上の海賊版に対しても及ぶことになりました。

改正された著作権法が適用されるのは平成27年1月1日で,来年の1月からはコミックの海賊版対策も進むと思われます。

なお,著作権の改正の内容は以下のとおりです。

第79条  出版権の設定
著作権者は,著作物について,以下の行為を引き受ける者に対し,出版権を設定することができる。

  • 文書又は図画として出版すること(記録媒体に記録された著作物の複製物により頒布することを含む)
  • 記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行うこと

第80条 出版権の内容
出版権者は,設定行為で定めるところにより,その出版権の目的である著作物について,次に掲げる権利の全部又は一部を専有する。

  • 頒布の目的をもって,文書又は図画として複製する権利(記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む)
  • 記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行う権利

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