和歌山県の発表によると,青梅のシロップ漬けなど販売していた中国の二企業が行っていた「紀州」の商標出願について,和歌山県などが中国商標局に対して異議申し立てを行っていたところ,和歌山県などの主張が認められ,登録をさせない旨の裁定が下されたと発表しました。
日本の特産品の原産地名が中国や台湾において商標出願される例が少なくなく,最近では京都の宇治茶が台湾において商標出願された問題がありました。
以前であれば,日本側の主張が受け入れられないことが多い印象でしたが,宇治茶の問題も含めて,日本の特産品の原産地名の商標登録が中国や台湾においても認められないという傾向があります。
これは,中国や台湾においても知的財産保護に対する認識が高まってきた証拠でもあります。
知的財産を蔑にした姿勢では,日米欧の国々と対等な関係を築くことは難しくなっているということもありますが,中国や台湾国内において保護しなければ自国の知的財産権が増えてきたことを示しているとも理解することができます。
中国では,平成26年11月に,北京市,上海市,広州市に,知的財産権に関する紛争を専門的に扱う知的財産権法院が設立されることになっています。これを契機に,中国における知的財産権に対する認識が,ますます高まることを期待しています。