弁護士視点で知財ニュース解説

TPP大筋合意 越年

北京の米国大使館で行われた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が行われましたが,平成27年2月の大筋合意を目指し,交渉を加速することが確認されました。
これにより,当初目指していた年内の大筋合意は断念されたと報道されています。

TPPでは,参加予定国の利害調整が複雑であるため交渉が難航していますが,日米主導により年内大筋合意を目指して交渉を続けてきましたが,更なる調整が必要な状況にあるようです。

TPPの大筋合意が困難な理由の一つとして知的財産権に関する合意が得られないことが挙げられます。
そして,特に問題となっているのが,医薬品の特許権存続期間と著作権の保護期間の問題です。

医薬品の特許権存続期間については新薬を提供する側にある日米は,可能な限り長期間の保護を求めることになりますが,ジェネリック医薬を多用する国おいては保護期間の短期化を求めています。

新薬の開発には,長い年月と数百億円規模の投資が必要になるため,一定の投資回収期間(特許権の保護期間)が必要になります。

他方で,医薬は人の生命に関わる問題であり,高い効果が認められる医薬品については早い段階で安価で提供することができる(特許権の保護期間を短くする)という要望も存在します。

この異なる立場の両者の対立がTPPの大筋合意の妨げになっています。

また,著作権の保護期間は,TPP交渉参加国内でそれぞれ異なっており,統一した保護期間の調整も難航しています。

ハリウッド映画やディズニーに代表される米国のコンテンツは,環太平洋の国々においても絶大な人気を勝ち取っており,米国を代表する輸出産業の一つです。

そして,アメリカの著作権法は,ミッキーマウス保護法と揶揄されるように映画の著作権の保護期間が暫時延長されていき,日本を含めた他国に対しても著作権の保護期間の延長を求めてきた経緯があります。

日本は,近時でこそコンテンツの輸出額が増加していますが,未だ収支では大幅な赤字国ですので,著作権保護期間の大幅な延長には反対の立場に立っています。

知的財産権だけを見ても各国の足並みがそろわないTPPの交渉が,今後どのような展開をみせるのか注意が必要となります。

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