弁護士視点で知財ニュース解説

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世界で最も革新的な企業・機関数世界一位 しかし・・・

トムソン・ロイターが発表する「Top 100グローバル・イノベーター2014」において,日本が米国を抜いて世界一位トップに選ばれたそうです。

トムソン・ロイターは,世界の48特許発行機関が発行する約5,000万件以上の特許公報のデータベースを保有しており,このデータベースに基づき,過去5年間の「特許数」「成功率」「特許ポートフォリオの世界的な広がり」「引用における特許の影響力」を評価の対象として世界で最も革新的な企業・機関100社を選ぶアワードを発表しています。

日本からは,Top 100に39社が選出され,選出社数が世界一になったようです。

しかし,この結果を受けて,弁理士の鈴木壯兵衞氏は,次のように指摘されています。

「我が国が『Top 100 グローバル・イノベーター』で最多の選出企業を獲得したからといって, グローバル市場でのビジネスを効果的に展開し,イノベーションの世界的なリーダーになったと考えるのは早計だと考えられます。」

「2014年現在における世界全体の実体経済(GDP)は74兆ドルと言われていますが,その約4倍の世界金融資産が動いているのが実情です。従って,今年の『Top 100グローバル・イノベーター2014』が円安による経済効果であるとすれば,そのまま受け取るのは非常に危険な評価となり得ます。」

確かに,日本国内の特許出願減数は大きく減少しており,この数字を見る限り日本という市場が特許発明を保護しておく必要性に乏しい市場になりつつあると理解することもできます。

また,日本の技術が海外に流出する問題,これは,いわゆる産業スパイによる流出だけではなく,日本の企業が技術をライセンスアウトする際に周辺技術が流出している問題も含まれており,近年,後者の問題が特に意識されています。

経産省は,不正競争防止法による営業秘密の保護にあたり必要となる秘密管理性の要件を緩和する指針を打ち出すことを明らかにしています。
この指針が日本の技術保護にとって大いに機能することを期待しています。

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