弁護士視点で知財ニュース解説

職務発明 中小企業は選択制に

特許庁は,従業員が職務中に行った発明「職務発明」について,一律会社に帰属させる方向で法改正を検討していましたが,中小企業などについては,会社に帰属させるか,現行のとおり従業員に帰属させるかについて選択することができる制度とすることを検討していると発表しました。

商工会議所は,特許庁が職務発明につき一律会社に帰属させる方向で法改正を検討していることを発表した後,中小企業の事務負担が増えることを理由に,企業によって選択することができる制度設計を行うべきであると主張していましたが,特許庁がこれを受け入れた形になりました。

商工会議所の説明では,中小企業の8割が職務発明規定を設けておらず,特許庁が公表した改正案が中小企業の実情に沿っていないというものです。

事実,特許庁に対する特許出願は年間約33万件のうち,中小企業による出願は3万件から4万件で,約400万社あるといわれる中小企業のうち,3万社足らずが特許出願を行っているだけであるといわれています。

このような中小企業の実情を前提にすれば,選択制を採用することも理にかなっていると言えます。

ただ,職務発明規定を設けていない企業において従業員が職務中に発明を行った場合のリスクについては十分に理解する必要があります。

職務発明規定が存在しない場合には,従業員に対して支払う対価は,裁判所の判断に委ねられることになりますが,その際に企業側の貢献度や企業が発明を行った従業員に対して行ってきた優遇の内容が十分に反映されるとはいえません。

そして,裁判所が限られた資料から対価の金額を決定するため,金額が意外に高額になり,企業の存続を脅かす結果になる可能性もあります。

職務発明規定を設けておき将来の紛争を回避することは,企業が安定した経営を行うためのツールの一つといえます。

これを機に,職務発明規定について検討してみてはいかがでしょうか。

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