弁護士視点で知財ニュース解説

デザイン保護へ権利意識高める

平成27年1月26日付日経新聞において,「模倣品に悩むファッション業界・デザイン保護へ権利意識高める」という表題でファッション業界の知財被害や知財対策に関する記事が掲載されています。

デザインの分野だけでなく商品のデザインを保護する法律としては意匠法という法律が存在し,特許庁に意匠登録することで同一の商品や類似の商品が製造,販売された場合に差止請求,損害賠償請求が認められます。

但し,意匠登録を行うためには,原則的に商品が市場に出回る前に登録を済ませておかなければなりません。

また,記事で紹介されているように,出願から登録まで6カ月から1年程度の時間が必要になりますし,全ての商品デザインについて事前に登録することは費用的にみて不可能です。

このような事情から,市場で流通した後に商品のデザインを保護する必要性に迫られた場合には,商品デザインそのものを商品の出所を示すものと捉えることにより立体商標として登録することで商品デザインを保護する方法があります。

しかし,商品デザインは,原則的に「商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」として登録が認められず,継続的な使用により出所表示機能を獲得したと認められる場合に例外的に登録が認められるだけです。

また,裁判所においては出願する商品と実際に市場において販売している商品との同一性を厳密に判断する傾向があり,例えば,サントリーの角瓶,ヤクルトの容器などは,出願されたものには商品名やロゴ,色彩などが施されておらず実際に市場に流通しているものと異なるという理由で出所表示機能を獲得していないと判断されたことあります。

ただし,近時においては,裁判所も出願したものと市場に流通している商品との同一性をあまり厳格に考えない傾向があり,ヤクルトの容器に関する第二次裁判においては立体商標の登録が認められています。

さらに,コカコーラのボトル,有名な椅子のデザイン,ホンダのスーパーカブやエルメスのバーキン,ショウワノートのジャポニカ学習帳の表紙を含めたノートなども立体商標としての登録が認められるようになりました。

但し,商品のデザインを立体商標として登録することができる場合というのは,上記したような誰もが知っている商品に限定されており,多くの商品は立体商標として登録することはできません。

意匠登録や立体商標登録が認められない場合,商品デザインが一切保護されないのかというとそうではありません。

市場に流通して3年以内の商品形態(商品デザイン)や3年以上経過していたとしても商品形態(商品デザイン)が周知になっている場合には不正競争防止法による保護を図ることができる場合があります。

この不正競争防止法による保護は,意匠出願中に模倣品が出回った場合にも有効であり,商品デザインを保護するにあたり非常に有効な法律ということができます。

ファッション業界のみならず,広く商品デザインの保護は,意匠法,商標法,不正競争防止法,これらいずれによっても保護することができない場合であっても民法により保護することができる場合があります。

商品デザインの保護を行うには複数の法律を駆使する必要がありますので,デザインの模倣に悩まれている方はご相談ください。

また,商品,空間,情報を対象としたデザインの保護について書籍の執筆を行っていますので,出版をご期待ください。

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