弁護士視点で知財ニュース解説

家電大手の売上情報を競業会社に提供

大阪府警生活経済課は,平成27年2月3日,家電量販大手「エディオン」の従業員が,同社での元上司で競業相手である上新電機に転職した男性に対して,エディオンの地域別の週間売上の情報など(大阪市)を提供したことを理由に,エディオン,上新電機の元従業員(懲戒解雇)両名を逮捕したと発表しました。

上新電機の元従業員は,府警の事情聴取において,提供された情報を参考にしていただけであると説明しているようで,府警の捜査においても当該情報が上新電機の営業活動に使われた形跡は確認されていないようです。

エディオンの従業員が提供した「地域別の週間売上の情報」は,当然のことながら営業活動に有用な情報であり,同社において秘密として管理されている情報ですので不正競争防止法上の営業秘密に該当します。

エディオンの従業員が営業秘密である「地域別の週間売上の情報」にアクセスする権限を与えられていなかった場合には,不正な手段により営業秘密を取得し,開示する行為を行ったことになりますので不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為を行ったことになります。

仮に,上記営業秘密にアクセスする権限を与えられていた場合には,不正の利益を得る目的であるいは情報保有者に損害を与える目的で営業秘密を開示する行為を行ったことになりますので不正競争防止法2条1項7号の不正競争行為を行ったことになります。

他方で,上新電機の元従業員については,情報提供を受けることが不正開示行為になることを知って営業秘密を取得したことになりますので,不正競争防止法2条1項8号の不正競争行為を行ったことになります。

そして,不正競争防止法には刑事罰の規定が存在し,情報の不正開示を行ったエディオンの従業員については10年以下の懲役,もしくは1000万円以下の罰金,または懲役,罰金を併科されることになります。

他方,上新電機の元従業員についてはエディオンの従業員との共同正犯ということで同様の刑が科されることになります。なお,府警の発表によると,上新電機の元従業員は,不正に取得した情報を使用していなかったようですが,仮に,情報を使用していたということになりますと,別途,犯罪行為が成立するということになります。

今回の件は,情報提供を依頼した側もこれに応じた側も,違法な行為を行っているという認識はあっても,上記したような思い刑罰を科せられる可能性がある犯罪行為を行っているという認識はなかったのではないかと推測しています。

世間では,企業が管理する営業秘密の漏洩に対する認識が低いと考えています。本件を契機に,改めて情報漏洩の違法性について認識してもらえればと思います。

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