弁護士視点で知財ニュース解説

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営業秘密漏洩 罰則強化

経済産業省が,不正競争防止法の営業秘密漏洩に関する刑事罰の対象に未遂罪を加え,営業秘密を海外流出させた場合には,最高刑を現在の1.5倍にあたる15年の懲役にする方向で法律の改正準備を行っていることが明らかになりました。

不正競争防止法の改正案については来年の通常国会に提出の予定です。

現在は,営業秘密の不正取得や不正開示・使用に対しては,既遂の場合のみ刑事罰の対象となっており,不正取得や不正開示・使用の証拠が必要ですが,未遂を処罰の対象とすることで,営業秘密を不正に取得しようとしたが失敗した場合にも刑事処罰の対象となります。

これにより,営業秘密を管理するサーバーへ不正にアクセスした場合や,営業秘密を漏洩させるウィルスを添付したメールを送信しただけで刑事罰の対象になります。

また,処罰対象の拡大だけではなく,刑罰についてもさらに重罰化されることになり,営業秘密を海外に流出した場合には,最高で15年の懲役刑が科され,罰金についても現在の1,000万円から5,000万円に引き上げられることになる予定です。

また,営業秘密を不正に取得,開示,使用した者が帰属する法人が共犯である場合の罰金の上限額についても現在の3億から6億円に引き上げられる予定です。

営業秘密に関する刑事罰については,平成17年度改正により情報窃盗の刑事罰化,平成18年度改正により罰則強化,平成21年度改正により処罰対象範囲の拡大,平成23年度改正によりマジコンに関する刑事罰導入等,近年,頻繁に改正が行われています。

このような度重なる法改正が行われている理由は,営業秘密の流出,特に海外への流出が問題となっており,このような事態を放置すると日本の競争力が大きく削がれることになるからです。

今回の法改正を契機に,自社の営業秘密の管理について再度,検討を行ってみてはいかがでしょうか。

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