弁護士視点で知財ニュース解説

上新電機 不正競争防止法違反で書類送検

家電量販大手「エディオン」の従業員が,同社での元上司で競業相手である上新電機に転職した男性に対して,エディオンの地域別の週間売上の情報など(大阪市)を提供したことを理由に,エディオン,上新電機の元従業員(懲戒解雇)両名が逮捕された件で,大阪府警は,相次ぐ企業間の営業秘密の不正取得事件を踏まえて,上新電機に対して罰金を科す方向で検討しているとの報道が行われています。

上新電機の元従業員は,府警の事情聴取において,提供された情報を参考にしていただけであると説明しているようであり,府警の捜査でも当該情報が上新電機の営業活動に使われた形跡は確認できないと公表されていましたが,社員が業務に関して営業秘密を侵害したことに加え,その一部が別の社員に渡っていたことを重視し,組織ぐるみの犯罪とはみとめられないものの,両罰規定の適用に踏み切るようです。

エディオンの従業員が営業秘密である「地域別の週間売上の情報」にアクセスする権限を与えられていなかった場合には,不正な手段により営業秘密を取得し,開示する行為を行ったことになりますので不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為を行ったことになります。

仮に,上記営業秘密にアクセスする権限を与えられていた場合には,不正の利益を得る目的であるいは情報保有者に損害を与える目的で営業秘密を開示する行為を行ったことになりますので不正競争防止法2条1項7号の不正競争行為を行ったことになります。

他方で,上新電機の元従業員については,情報提供を受けることが不正開示行為になることを知って営業秘密を取得したことになりますので,不正競争防止法2条1項8号の不正競争行為を行ったことになります。

情報の不正開示を行ったエディオンの従業員については10年以下の懲役,もしくは1000万円以下の罰金,または懲役,罰金を併科されることになり,上新電機の元従業員に対しても同様の刑が科されることになります。

両罰規定というのは,このような実際に犯罪行為を行った従業員に加えて,不正に情報を取得した従業員の使用者である企業に罰金を科すというものです。

本件では,上新電機による積極的な関与(組織ぐるみの関与)が認められない事例において両罰規定が適用されるのは非常に珍しいことではないかと思います。

不正競争防止法の両罰規定による罰金の最高金額は3億円となっていますが,現在閣議決定され今国会において不正競争防止法の改正が行われると罰金の最高金額が10億円となります。

なお,仮に上新電機に対して罰金が科されることになる場合には,現在の3億円を上限とした罰金が科されることになります。

この罰金の金額は,情報の不正取得に関する両罰規定で,世界最高金額になりますが,新電機に対する両罰規定の適用は,情報の不正取得の重罰化と軌を同一にするものであると思われます。

本件は,情報の不正取得について「従業員が勝手に行ったこと」では済まされない時代に突入したともいえ,企業としては,情報の流出のみならず,流入についても管理体制を整え,厳重に管理していく必要があることを示しています。

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