弁護士視点で知財ニュース解説

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リニア 商標登録問題

平成27年3月23日付朝日新聞デジタルの記事で,「リニア」の商標登録問題に関する記事が紹介されています。

記事によると,名古屋市港区の「リニア・鉄道館」の土産物販売コーナーで販売されているリニアを模したチョロQの商品箱に「リニア」の文字がなく,JR東海の関係者による「実は商品名に『リニア』の言葉が使えなくて、困ったことになっているんです。すでに商標権をおさえられてしまって。」とのコメントが紹介されている。

そして,記事では,「『リニア』の商標は,鉄道業務などにかかわる分野はJR東海がおさえているが、おもちゃや文房具などは大阪の不動産会社が押さえている」と紹介されている。

この記事を受けて「リニア」という呼称が含まれている登録商標を調べてみると,確かに鉄道業務に関連する商品等については,JR東海が「リニア」あるいは「リニア」を含む商標を登録している。

しかし,「LINEAR MOTOR CAR?リニア モーター カー」という商標が,キーホルダー,身飾品,時計,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙類,印刷物,写真,写真立て,プラスチック製包装用袋,紙製包装用容器,愛玩動物用おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,運動用具,茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,即席菓子のもと,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,穀物の加工品,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビールと多くの商品で,大阪府吹田市の有限会社エコー商事が商標登録しています。

そもそも,商標は,商品や役務の出所を表示するものであり,そのようなものとして使用する場合のみ差止めや損害賠償の対象になります。

今回の記事で紹介されている「チョロQ」の商品箱に,リニアモーターカーを模した商品であることを示す目的で「リニアモーターカー」という文字を使用したとしても,商標権を侵害することありません。

また,リニアモーターカーを模した商品以外のものであっても,例えば,リニアモーターカー駅で限定販売することを示す目的で使用したり,その他,リニアモーターカーに関連する商品であることを説明する目的で使用したとしても商標権の侵害になることはありません。

なお,安全策として,それぞれの商品パッケージに出所を示す会社名やサービス表示を消費者が一目で分かる方法により示すことで,より一層,商品に関する説明であるという意味あいが強くなります。

さらに,商標法には,不使用取消審判という制度があり,各指定商品で3年間商標の使用が認められない場合には登録された商標を当該指定商品との関係で取消すことができます。

リニア開通は平成39年の予定ですから,それまでの間,商標が取消されることがないように維持するのは,費用的に大変であると想像します。

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