弁護士視点で知財ニュース解説

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ハワイ女性 フラダンスの著作権侵害を訴える

カウアイ島最大級のフラダンス教室を運営する米国女性が,長年出張指導してきたフラダンス教室の運営会社「九州ハワイアン協会」に対し,米国女性が指導したフラダンスの使用を差止める訴訟を提起し,平成27年5月11日に大阪地裁で第1回口頭弁論が開かれました。

米国女性は,1980年代に九州ハワイアン協会の依頼で日本での指導を始めたが,昨年,フラダンスの作曲依頼がキャンセルされ,秋に予定していた最後の指導も中止になるなど,協会との関係が悪化し,自身の振り付けを教室で教えないよう求めたが拒否されたため,訴訟提起に至ったようです。

米国女性の主張によると,フラダンスに共通の基本動作はなく,指導者ごとに違い,自身の振り付けは先代指導者から受け継いだ動きも取り入れ,独自に考案したものだと主張しています。

他方,九州ハワイアン協会は,社交ダンスの振り付けをめぐる東京地裁平成24年2月28日判決(平成20年(ワ)第9300号)が「既存のステップにアレンジを加えたもので著作物ではない」と判断した裁判例を引用し,振り付けは共通の基本動作であり,著作物ではないと主張しているようです。

著作権法により保護される著作物の中には,「舞踊」の著作物というものがあります。

「舞踊」の著作物は,一定の定まった型が存在し,これが従前のものと比較して創作性が存在した場合には著作物と認められ,著作権法により保護されることになります。

「舞踊」の著作物は,映像や写真などの媒体に固定されている必要がありませんが,訴訟において定まった型を特定するためには,映像や写真などにより示す必要があります。

被告である「九州ハワイアン協会」は,様々なダンサーが踊っているフラダンスの映像を提出し,それと米国人女性のダンスとを比較した上で相違点を摘出し,その相違がわずかであり米国人女性のフラダンスには創作性が認められないと反論していくことになります。

著作物と認められるためには「創作性」が必要になります。

そして,ここでいう「創作性」とは,訴訟を提起した米国人女性の個性が表現されていることを指します。

ただし,非常に多くの類似するフラダンスの型が以前から存在する場合には,自ずから創作性の要件のハードルが高くなり,前記した東京地裁が判断したように「独創性」というレベルのものを求められる可能性があります。

本件では,以前に存在したフラダンスとの比較で米国人女性のフラダンスに当該女性の個性が表現されているのか,あるいは,独創性が認められるのかという点が問題になり,大阪地裁の判断が注目されるところです。

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