弁護士視点で知財ニュース解説

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海外海賊版サイト対策

cont_img_73.jpg東映アニメーション,スタジオジブリ,KADOKAWA,講談社,小学館,集英社など15社が参加し,海外流通促進機構(CODA)が事務局を務める「マンガ・アニメ海賊版対策協議会」は,平成26年7月,海賊版のマンガやアニメを提供する中国や米国,欧州など海外の約100サイトに対し,約5カ月間かけてメールなどで削除要請を集中的に行う「MAG PROJECT(マグプロジェクト)」を開始しました。

これは,外国の海賊版サイトにデータの削除を要請するとともに,正規の方法で鑑賞してもらうための誘導や啓発を行うプロジェクトで,出版社やアニメ制作会社など15社が初めて業界を超えて連携した本格的な対策で,対象になるのは,動画投稿サイトや漫画をネット上で読める「オンラインリーディングサイト」,海賊版のデータをため込む「ストレージサイト」などで,海外でも人気の「ONE PIECE(ワンピース)」「名探偵コナン」など,計約580 作を想定しているようです。

マンガ・アニメ海賊版対策協議会は,まず任意で配信を取止めるように働きかけ,聞き入れられない場合には現地の裁判所に訴訟提起するなど法的措置も検討するようです。

現在の海賊版主流は,大容量の通信が可能になったことや,米国などで起きた日本のアニメブーム,ユーチューブなど動画投稿サイトの登場などにより,本やDVDなどの媒体を介した提供ではなくネットによる配信となっています。

平成24年の日本のアニメ制作会社の海外売上高は144億円に留まっており,直近のピークである平成17年の売上高313億円と比較すると半減しており,経済産業省の25年度の調査では,アニメ・漫画の海賊版被害は米国だけで約2兆円に上ると推計されており,海外海賊版の存在は各社の海外進出の障害になっているといわれています。

そして,このような海賊版サイトに対するこれまでの対応は,各社が個別に行ってきましたが効果は上がっておらず,今回の業界を超えた連携に至りました。

海外海賊版対策では,ネットにアップロードしている者の特定が必須となりますが,これを特定することは非常に困難です。

ただし,CODAの説明によると,アニメは放送の数時間後,漫画も雑誌・単行本の発売から時間を置かずにネットに流されれ,各国のアニメファンらが自前で翻訳した字幕がつけられ,世界中のさまざまな海賊版サイトに拡散していくという構図があるようで,日本が発信源になっているようです。

アニメや漫画をアップロードする行為は著作権のうち公衆送信権,送信可能化権を侵害する行為であり著作権侵害に該当することは説明するまでもありません。

そして,このような行為は,10年以下の懲役,1000万円以下の罰金,又はこれらが併科されることになります。

また,有償でダウンロードして保存する行為も2年以下の懲役,200万円以下の罰金,又はこれらが併科されることになります。

日本が世界に誇る文化であるマンガ・アニメが日本の輸出産業を担うまでに発展するためには,違法アップロードの徹底的な取締まりと,違法にアップロードされたコンテンツを購入しないという我々の決意が不可欠です。

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