弁護士視点で知財ニュース解説

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ゲームバー問題

cont_img_45.jpg家庭用ゲーム機を設置し,飲食を提供するとともに,ゲームを楽しむ場所を提供する「ゲームバー」が問題になっています。

大阪で三店舗のゲームバーを運営しているクロノスは,ゲーム会社などから警告を受け,平成30年7月28日に店舗を閉鎖することを発表しました。

ゲーム会社が販売するゲーム機やゲームソフトを提供するゲームバーは,どのような法的問題を抱えているのでしょうか。

著作権法では,「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物」を「映画の著作物」に含むと規定されています。

上記のとおり,「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる」と規定されていることから,聴覚的効果を生じさせることは映画の著作物の要件ではなく,視覚的効果を生じさせることが要件となっていると理解することができます。

そして,「映画の視覚的効果」とは,映写される影像が動きをもって見えるという効果のことですから,何十分の1秒ごとにフレーム入れ換えることにより,モニター上に,その影像が動いているように見せるゲームソフトは「映画の効果に類似する視覚的効果」をもっているといえるわけです。

ところで,映画の著作物は,「物に固定されている」ことが必要になっていますが,固定される対象である物の種類の限定がされていません。ですから,固定される対象は,映画フィルムや磁気テープでもよいですし,ROMであってもよいことになります。

ここで,映画の著作物であることの要件として「物に固定されている」ことが求められている理由は,著作物が何等らかの方法により物と結びつくことによって,同一性を保ちながら存続し,著作物を再現することが可能であることが必要であると考えられたからです。

この点,ゲームソフトは,ROMに予め固定されたデータ群の中から一定の映像データを抽出し,モニター上に影像として映し出し,同一性を保ちながら再現することが可能ですので「物に固定されている」とも言えます。

以上を理由に,ゲームソフトは,「映画の著作物」にあたると考えられており,このような考え方は,裁判所においても確定的に採用されている考え方です。

著作権法では,「映画の著作物」に,上映権や頒布権が認められています。 cont_img_73.jpg

ここで,「上映」とは,「著作物を映写幕その他の物に映写すること」とされており,「映画の著作物」には,公に上映する権利を独占することが認められています。

なお,映画の著作物に収録されている音楽を再生することも上映とされています。

また,「頒布」とは,「有償であるか又は無償であるかを問わず,複製物を公衆に譲渡し,又は貸与すること」と規定されており,「映画の著作物」には,複製物を公衆に譲渡し,又は貸与する権利を独占することが認められています。

なお,映画の著作物に収録されている音楽などの著作物の複製物を公衆に譲渡すること,貸与することも頒布に含まれています。

よって,ゲームソフトの著作権者の許可なく,モニターを設置し,ゲームバーを利用する顧客にゲームの映像を見せる行為やゲーム音楽を聞かせる行為は上映権を侵害することになります。

ところで,ゲームソフトを適法に購入して再販する行為(中古ゲームソフトの販売)は,適法にゲームソフトを購入した段階で,頒布権の内,譲渡する権利が消滅するというのが最高裁が採る考え方です。

最高裁は,ゲームソフトの販売ごとに著作権者の許可が必要であるならば,ゲームソフトの流通が著しく阻害されること,著作権者が最初の販売時に投下した費用を回収する機会が与えられていること,著作権者に二重,三重に利益を得る機会を提供することは不当であることなどを理由に上記のように考えているわけです。

しかし,適法に販売したことによって消滅するのは,頒布権のうち譲渡する権利のみであり,貸与する権利は消滅することなく存続するものと考えられています。

ですから,ゲームバーが適法に購入したゲームソフトであったとしても,ゲームバーを利用する者にゲームソフトを貸与した場合,それが有償であるか無償であるかと関係なく,ゲームソフトの頒布権(貸与する権利の部分)を侵害することになるのです。

ゲームソフトが映画の著作物であるといわれると違和感を持たれる方が多いと思いますが,裁判所では,昭和59年9月28日に下された判決以降,ゲームソフトが映画の著作物であると考えられてきました。 そして,ゲームソフトが映画の著作物である以上,適法に取得したものであっても,著作権者の許可なく,公に上映してはいけませんし,無償,有償問わず貸与してもいけないわけです。

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