弁護士視点で知財ニュース解説

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デザイン保護と不正競争防止法(2)

cont_img_68.jpg他人の商品形態を模倣した商品を販売すると不正競争行為にあたる場合があることは,「デザイン保護と不正競争防止法(1)」で説明したとおりです。

しかし,他人の商品形態模倣は,市場で販売されてから3年以内の商品でなければなりません。 そして,ここがネックになるのですが,どのような商品形態であっても販売開始から3年間保護されるのではなく,先行して行った投下資本を優先的に回収させてあげないといけないと評価される商品形態,つまり,既存の商品には存在しない新たな形態であり,既存の商品を前提にすると苦労なく製造することができる形態ではないということが必要になります。

新たな商品形態の開発への苦労と創作性とは必ずしも一致するものではありませんが,商品のデザイン開発の現実においては,多くの場合で両者は重なりあうものではないかと考えています。 つまり,多くの場合に,従前の商品と比較してそれなりの創作性が認められる新規の商品形態が不正競争防止法によって保護されると考えておいてよいと思います。

実際の裁判においても,問題となる新規の商品が従前の商品と比較してどのように違うのか,違うとして,それを生み出すにあたって優先回収が必要となる資本の投下が行われているかということがポイントとなり,不正競争防止法により保護を受けることができないことが少なからず存在します。

商品形態模倣の訴訟を提起する場合に,最も慎重に判断するポイントも「既存商品との比較で,問題となる商品に優先回収が必要になる資本の投下が行われているか」という点です。

それでは,このようなポイントをクリアーすることができない場合には不正競争防止法による保護をあきらめるのかというと,そうではありません。

商品形態模倣は市場で販売してから3年という比較的短期間の保護になりますが,逆に長く販売しているということに目をつけて不正競争防止法による保護を行っていくことができないかを検討します。

そもそも,商品形態というのはどのようにして決定されているのでしょうか。 商品がデザインされる過程を見ていますと,次のように言えるのではないかと考えています。

商品には,本来それが果たすべき機能というものが存在します。 そして,商品形態は,その商品が果たすべき機能によって必然的に決定づけられる形態というものが存在します。 例えば,空を飛ぶ乗り物を製造するときに船の形をした乗り物を製造しません。逆に,洋上を航行する乗り物を製造するときに飛行機の形をした乗り物を製造しません。

このようにして決定づけられる商品の形態をベースに,製造コスト,輸送コスト,維持コスト等の経済的理由により形態が決定づけられます。 また,男性が使用するのか,女性が使用するのか,小さな子供が使用するのか,年老いた方が使用するのか,健常な方が使用するのか,ハンディーキャップを抱えた方が使用するのか等の社会的理由によっても形態が,決定づけられることがあります。 さらに,商品の見栄え,他商品との差別化といった芸術的な要因によっても形態が決定づけられることになります。

商品形態は,その商品が果たすべき機能を前提に,経済的要因,社会的要因,芸術的要因が相まって最終的な形態が決定づけられています。 そもそも,意匠法における「美感」とは,上記した要因を整理して一つの商品に秩序だって表現されている状態のものを指していると考えています。

さて,商品形態は,以上のような過程を経て決定づけられるものですが,長年市場に受け入れら,多くの方に使用されるという状態が継続すると,商品の形態によって,それを提供する業者を特定することができるようになります。 なお,強力な広告を行うなどして,短期間であってもこのような現象が生じることもあります。

この状態に至ると,商品形態が出所表示機能を獲得したと評価されることになるのですが,出所表示機能を獲得した商品形態は,出所を表示するものとして,不正競争防止法の別の規定によって保護されることになります。

不正競争防止法では,周知な他人の商品等を表示するものに類似した表示を使用した商品等を販売する等して需要者を混同させる行為が不正競争行為と定められており,この規定による保護を検討することになるのです。

他人の商品等を表示するものが,まさしくその商品であるということです。

商品そのものが出所表示としての機能を獲得するに至っているか否かは,その商品の販売場所,販売期間,販売個数,売上等を示すことによって,どれほど市場において流通しているのかによって示します。

不正競争防止法では,単に出所表示として機能しているだけでなく,それが周知であることが必要になります。 しかし,周知であるか否かは,出所表示としての機能を獲得しているか否かの問題の延長上にありますので,実際には出所表示としての機能を獲得していることを示すことと同一のことを行うだけです。

そして,出所表示機能を獲得した商品と類似した形態の商品を販売すると市場を混乱させるということは,事実上の推定が及ぶ事項ですので,逆に,形態が類似した商品を販売する側で混同防止措置をとっているということを反証する必要がある事項です。

以上のように,商品のデザインの保護を検討する場合,商品デザインの本来的な意味からだけではなく,商品デザインが二次的に獲得する機能にも留意して保護の可能性を検討しなければならないのです。cont_img_71.jpg

余談にはなりますが,商品形態が立体商標として登録が認められる場合があるのは,商品形態が出所表示機能を果たしていることがあるからです。 そして,立体商標の場合には,登録が認められると,事実上半永久的に保護されることになり,特定の商品形態が半永久的に独占状態に置かれることとの関係で,特許庁の審査が厳格に行われているのです。

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