弁護士視点で知財ニュース解説

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デザイン保護と不正競争防止法(1)

cont_img_68.jpg正競争防止法では,他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する等の行為が不正競争行為にあたるとされ,そのような行為は,差止め,損害賠償の対象となっています。

そして,「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいうと規定されています。

不正競争防止法のこの規定により,商品のデザインは,特許庁で意匠登録がされていなくても,販売を開始してから3年間は保護されることになります。

ところで,商品のデザインを意匠登録するためには,そのデザインが従前にはない新しいものであること(新規性),従前のデザインを前提に創作が容易でないこと(創作非容易性)が必要になります。

他方,不正競争防止法では,前記した商品形態の定義が定められていますが,要件として新規性や,創作非容易性に該当する要件が定められていません。

ですから,不正競争防止法の条文を形式的に読む限り,商品形態の定義に該当する商品であれば,それを模倣した商品を販売すると不正競争行為に該当することになりますが,実際には,そのようには運用されていません。

裁判所では,商品形態模倣に関する不正競争防止法の規定は,商品デザインの先行投資者に投下資本を優先的に回収させてあげるための規定であり,差止め,損害賠償の対象となる商品形態も先行投資者による優先回収が必要なものではなければならないと解釈されています。

その結果,不正競争防止法によって保護される商品形態は,既存の商品にはない形態でなければならないとされています(新規性)。 そして,単に新しい商品形態であるだけでなく,その新しさが,優先的に回収させてあげないといけない程度のものでなければならないとされています。

優先的に回収させてあげなければならない程度というのは,どれほどお金を費やしたか,人を投入したか,時間を費やしたかによって判断されるため,必ずしも「創作性」とは関係ないものではありますが,それ相応の「金」,「人」,「時間」を費やした場合には,何らかの創意工夫というものが行われており,多くの場合で個性のようなものが表現されることになるのだろうと思います。

意匠登録にあたって求められる創作性というのは,それほど高いものでありませんので,意匠登録に求められる「創作非容易性」と商品形態に求められる「個性」ともよぶべきものは,実際には非常に近似しているのではないかと考えています。

つまり,不正競争防止法の商品形態の模倣は,実務的には,非登録意匠を3年間に限って保護するものであると言ってもよいのではないかと考えています。

ただし,意匠の場合には,偶然,登録意匠と同一あるいは類似する意匠であっても差止めの対象になりますが,不正競争防止法では,他人の商品形態に依拠していないと差止め請求の対象になりませんが,これは,登録により公示されているデザインであるか否かによって生じる差として納得できるところです。

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