弁護士視点で知財ニュース解説

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「デーモン風高杉」の問題 芸能人の肖像 

intellectual_01.jpgNHKアニメ「ねこねこ日本史」(Eテレ)の登場人物「デーモン風高杉」が問題となっています。 既に,番組ホームページから「デーモン風高杉」の絵が削除され,テレビ局側としては沈静化を図ろうとしているようですが,そもそも,事の発端は,デーモン閣下が,ブログ上で,名前を含めて,明らかに自身の肖像や氏名が無断に使用されていると指摘し,心外であると意見表明したことでした。

人は,自己の容貌,姿態をみだりに写真,絵画,彫刻などにされたり,利用されたりすることのない権利を有しており,このような権利は肖像権と呼ばれています。 そして,最高裁では,古くから,「人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)は,個人の人格の象徴であるから,当該個人は,人格権に由来するものとして,これをみだりに利用されない権利を有すると解される。」と判示されており,人の氏名や肖像を許可なく使用する行為は人格権侵害にあたると判断されています。

そして,今回の「デーモン風高杉」の名前や絵は,デーモン閣下の人格権を侵害している可能性が高いと言えます。

ところで,「デーモン閣下」のような著名人の場合には,肖像権だけでなくパブリシティ権も問題となります。

最高裁では,「肖像等は,商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり,このような顧客吸引力を排他的に利用する権利」は,肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから,人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。」と判示し,著名人のように,商品の販売等を促進する氏名や肖像等をパブリシティ権と呼んで保護されています。

デーモン閣下は,長年,テレビなどに出演し,知名度もありますので,肖像権に加えて,パブリシティ権も有している存在です。 ですから,デーモン閣下の氏名や肖像等を本人の許可なく使用した場合,肖像権だけでなくパブリシティ権も問題となります。

ここで,「氏名」ですが,問題となるのは,あくまで顧客誘引力を有する氏名ですから,本人の本名のことではなく,芸名のことです。 そして,芸名の一部であっても特定の著名人を連想させ,それが顧客の吸引に結びついているのであれば「氏名」の使用と認められると考えます。

デーモン閣下の場合,「閣下」と呼ばれたり,「デーモン」と呼ばれていますが,「閣下」は,高位高官の人に対する呼称として「デーモン」は悪魔を指すものとして一般的に使用されていますので,これらを単独で使用した場合(本人の姿とともに使用されていない場合)には,使用されている状況にもよりますが,非常に微妙な判断がともなうと言わざるを得ません。

そして,最高裁が判示した「肖像等」の「等」にどのようなものが含まれるかですが,本人と特定することができ,それによって顧客を吸引することができるのであれば写真で表現された肖像に限らず,絵画や彫像であってもよいと考えます。

今回の「デーモン風高杉」は,デーモン閣下の象徴である逆立った金髪の髪の毛,真っ白な顔,赤く染めた目の上部,灰色に染めた頬,マントなどの衣類の形状からデーモン閣下を特定することができる絵画と評価してよいと思います。

ところで,最高裁は,「肖像等に顧客吸引力を有する者は,社会の耳目を集めるなどして,その肖像等を時事報道,論説,創作物等に使用されることもあるのであって,その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである。」とし,以下のような専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合にパブリシティ権を侵害すると判示しています。

  • 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
  • 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する
  • 肖像等を商品等の広告として使用

今回は,番組の広告となっているホームページ内で他のキャラクターとともに使用されていたわけですが,他の多くのキャラクターとともに使用されているため,パブリシティ権の侵害判断は微妙となり,仮に,侵害と認められた場合であっても軽微なものと判断されるのではないでしょうか。

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