弁護士視点で知財ニュース解説

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ビッグデータとデータベースの違い

cont_img_56.jpgデータベースは,作成段階から予め定められた目的でデータを収集・蓄積することから,予め定められた目的の範囲を超えて使用することはできないのに対し,ビッグデータは,膨大な情報を収集・蓄積した上で分析し,何らかの有意性を見出し,何らかの提案を行ってくれるという点で,技術的に全く異なるものです。

もう少し簡単に言えば,データベースは,多くの情報の中から特定の情報を簡単に,かつ,短時間で見つけ出してくれる技術であるのに対し,ビッグデータは膨大な情報群から,課題と解決法を提供してくれるというところにあります。

ビッグデータに対して大きな期待が寄せられている点はこの点にあるわけです。

ところで,データベースは,著作権法で,「論文,数値,図形その他の情報の集合物であって,それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。」と定義され,「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは,著作物として保護する。」と規定されています。

データベースは,蓄積される情報の選択,蓄積される情報の体系的な枠組みに従って個々の情報を整理し,蓄積することによって作成されるもので,情報の選択や情報の体系的な構成に創作性が認められる場合にデータベースの著作物として著作権法によって保護されるのです。

他方,ビッグデータは,人の手で情報が分類されたり,体系的に構成されているわけではなく,既存の見方であれば有意性を見出し難い情報も含めて膨大な量の情報が体系化されることなく蓄積されています。

このような情報を飛躍的に計算能力が向上したコンピューターをで分析し,予想もしなかった有意性のある解を提供するところに特徴があります。
いわば,人の手によって情報が分類されていない,体系化されていない膨大な生の情報であるところに価値が存在します。

このような膨大な生の情報は,データベースとは異質なものですから,データベースの著作物として著作権法によって保護されることはありません。

そこで,データベースとは異質な生の情報群を保護していこうとするのが,今回の不正競争防止法の改正なのです。

ここで,気をつけなければならないのは,管理されたビッグデータであれば改正法によって保護されるわけではないということです。

自社で使用する目的で管理されたビッグデータは,従前どおり営業秘密の要件が備わったものに限り従前からある規定で保護されることになります。

今回の法改正の意図は,有用なビッグデータが第三者においても活用されることを促すところにあります。
自社でのみ使用している場合は従前の営業秘密として保護しないが,他社に提供する場合には管理性の要件が緩和された規定で保護するという立て付けになっているのです。

今回の改正法が適用される機会が増えるということは,ビッグデータが特定の企業で独占されず,企業間で活用が進んでいるということを意味しています。逆に,ビッグデータが特定の企業で独占される状態ですと今回の改正法が適用される場面がないということになります。

今回の改正法の適用機会というのは,ビッグデータの流通状況のバロメータにもなりますので,かかる観点でも注目したいところです。

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